台湾に迫る中共の「認知戦」激化 国家安全局が5大手法を公表

2026/01/14
更新: 2026/01/14

台湾の国家安全局がこのほど公表した最新報告書で、中国共産党(中共)による対台湾認知作戦が長期的にエスカレートしている実態が明らかになった。

国防・安全保障の専門家は、同報告書が台湾市民に対し、中共の多様化・高度化する認知戦術を識別し警戒を促すうえで極めて重要だと評価する一方、台湾は国際社会の友好国と連携し、認知戦に迅速に対処できる仕組みを構築すべきだと提言している。

国家安全局の報告書「2025年中共の対台湾認知戦操作手法分析」によると、中共はもはや公式な宣伝システムだけに依存してフェイクニュースを拡散する段階を超え、「官民の協力」を通じてビッグデータ、生成型AI、ネット工作部隊などを総動員し、台湾社会やメディア世論に深く浸透しているという。

その狙いは、台湾併合に有利な「認知環境」を形成することにあると指摘している。

台湾国防安全研究院の研究員、沈明室氏は「国家安全局の報告書は社会に対して強い警鐘を鳴らしている。関係機関が詳細な分析を行い、一般市民にも理解できる形で情報を発信することが重要だ」と強調。

「一見、単なるインフルエンサーの発信やフェイクニュースに見えるものでも、それらは中共の対台湾認知戦の一環であり、台湾の安全保障に直接的な影響を与えている」と警戒感を示した。

また、台湾国防安全研究院の副研究員、謝沛学氏は「中共は台湾を認知戦の“試験場”と見なしている」と指摘する。「グレーゾーンでの認知作戦やサイバー攻撃など、台湾で試した技術や手法を蓄積したうえで、他の主要な民主国家にも応用している」と述べた。

近年、米国、欧州連合(EU)、オーストラリア、フランスなどの政府機関やシンクタンクが、中共やロシアによる認知戦の脅威に関する類似の報告書を相次いで発表していることも、その裏付けだという。

国家安全局によれば、中共の認知作戦の主な目的は、台湾社会内部の対立を深めるとともに、市民の「反中共的感情」を弱め、国際社会における台湾支援への意欲を削ぐことにある。

そのため、中共は「米国懐疑論」「軍事介入懐疑論」「賴清徳懐疑論」といったナラティブを繰り返し拡散し、世論を操作して一部の民意を中共寄りに誘導し、台湾の民主制度や安全保障体制への信頼を揺るがそうとしていると分析している。

沈氏は「台湾は同盟国と協力し、認知戦や世論操作に対抗するための迅速かつ効果的な対応メカニズムを確立すべきだ」と述べた。

具体的には、即時に連携可能な対話窓口を設け、類似事案が発生した際には迅速に情報共有と事実確認を行い、各国がそれぞれ記者会見などを通じて中共の行為を非難できる体制の構築が必要だとする。さらに、虚偽情報の製造・拡散に関与した者に対しては、法令に基づき法的責任を追及すべきだと訴えた。

報告書はまた、中共が実施している主な認知戦術として、①データ分析による世論動向の把握、②複数チャンネルを用いた対立煽動情報の拡散、③不正アカウントを利用した世論浸透、④生成AIによるフェイク映像などの作成、⑤サイバー攻撃による台湾人アカウントの盗用、の5点を挙げている。

謝氏は「国際的な情報協力と脅威情報の共有を一層強化しなければならない」と述べ、「法制度には改善の余地があるが、より多くの資源を投入し、ディープフェイク対抗技術の開発を進めるとともに、AIによる認知戦にはAIで立ち向かう発想が不可欠だ」と強調した。