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社会問題 「着て返す」横行で混乱する中国通販

返品で倒産する会社も 中国の過酷な返品制度 通販では「灰皿」タグ登場

2025/12/07
更新: 2025/12/07

中国の通販で、メンズ服にまさかの「灰皿」がぶら下がるという異様な光景がついに見られ始めた。

陶器製や金属製の灰皿がタグ代わりに取り付けられ、外すには破損を伴い、付けたまま外出すれば目立ちすぎて恥ずかしい。いわば「着て返す客」を止めるために、店側が苦悩の末に編み出した物理的な防御策である。

なぜここまで極端な対策が必要なのか。それは、中国の通販で「数日着て外出してから返品する」という行為が横行しているからである。写真だけ撮って返す、イベントで1日だけ着て返すなど、悪用が止まらない。

その結果、店側は灰皿だけでなく、ファスナー丸ごと鍵で固定する方式など、常識外れの対策を次々と導入するようになった。信頼ではなく「外せない仕組み」が商品の安全を守る手段になっている。

 

店側が編み出した「物理的な防御策」。左は暗証番号付きの小型ロック(購入が確定すると店側が番号を伝えて解除できる仕組みになっており、外したあとのロックはそのまま客へのプレゼントとして渡される)右は、取り外したら返品不可の「巨大タグ」(中国のネットより)
店側が編み出した「物理的な防御策」。いずれも取り外したら返品不可の「巨大タグ」(中国のネットより)
店側が編み出した「物理的な防御策」。いずれも取り外したら返品不可の「巨大タグ」(中国のネットより)

 

中国の通販には、「受け取ってから7日以内なら理由を問わず返品できる」という制度がある。本来は消費者保護のための仕組みである。しかしこれが長年悪用され、服の返品率は男物で30〜40%、女物では50〜60%、ライブ配信販売では80%を超えるという異常な水準に達している。

特に婦人服では「10着買って9着返品」が珍しくなく、返品された商品には化粧汚れや着用痕が残り、再販売できないケースも多い。

広州のある店では、セールで仕入れた500万元分のうち400万元が返品され、着用痕が多く廃棄せざるを得ず、最終的に80万元(約1760万円)の損失を抱えた。業者の倒産は珍しくない。

問題は一般消費者にとどまらない。返品制度の悪用が教育現場にまで広がった例もある。遼寧省瀋陽市では、教師が生徒に「運動会で使ったら返品すれば良い」と指示し、60人以上がスカートを汚れたまま一斉返品する事件が起きた。この集団返品事件は「モラル崩壊の象徴」として大きな批判を呼んだ。

 



ネットで買ったスカートを穿いて運動会 汚した後で全員返品 「返品制度の穴を突け」と教えたのは教師=中国

ネットで買ったスカートを穿いて運動会、汚した後で全員返品。しかも「返品制度の穴を突け」と教えたのは教師、中国社会のモラル崩壊。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!