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【実力検証】中共軍部の対日威嚇 かえって弱点を露呈(下)​

2025/12/02
更新: 2025/12/02

11月27日、中国共産党(中共)国防部の報道官は、日本の高市早苗首相の「台湾有事」発言に対し、「徹底的に迎撃して痛撃を与える」と応じた。中共軍は、あたかも再び日清戦争のような戦争を起こすことさえ恐れていないかのように装い、日本への憎悪を煽っている。党系メディアもこれに全力で呼応している。しかし、1894年の日清戦争は清朝軍の脆弱さを白日の下に晒した。今、中共軍が日本と戦えば、その軍事力の実態も露呈しかねない。果たして中共は本当にそれを試す度胸があるのか。​



中共軍部の対日威嚇 かえって弱点を露呈【実力検証】(上)

中共軍は軍事的示威を強める一方で、実戦能力や装備面での課題が多数露呈。日本の防衛態勢と比較し、その脆弱性が浮き彫りになっている

東シナ海で起こり得る空戦と空爆

中共のJ-20は制空戦闘機であり、現時点では空爆能力は確認されていない。機内の兵器倉には500キログラム爆弾の搭載が可能とも言われるが、対艦ミサイルは搭載できない。J-20には機関砲もなく、近距離戦闘は不可能である。​

日本のF-35A/Bには空爆用の兵装は基本的に搭載されておらず、空対空ミサイルと機関砲のみである。こちらも制空戦が主な任務である。両軍がまず第5世代戦闘機を出撃させた場合、先に相手を発見し攻撃できるかが勝敗を分ける。​

J-20は側面や後方からのステルス性能が十分でなく、機関砲もないため、無謀に敵陣へ突入することはできない。そのため両軍の「視界外戦闘能力」が問われることになる。具体的には機体のレーダー、ステルス性能、パイロットの操作技術、そして早期警戒機とのリアルタイム通信能力が鍵を握る。もしJ-20の真の性能が戦闘で露呈すれば、今後アメリカ軍との対峙にも支障を来すだろう。​

通常、双方の戦闘機は一度に全機出撃するのではなく、交代で出撃する。日本側の目的は防衛であり、中国大陸に接近することはない。空中給油機の支援も受けられるため、出撃時間を長く保つことができる。これが第5世代機の数で劣る点を補う。一方、中共のJ-20は攻勢に出るため前線までの距離が長く、往復の給油が必要で、数の優位は部分的に失われる。​

中共が投入できる第4世代戦闘機の数も決して多くない。空中給油機の不足もあり、滞空時間の面では不利である。さらに問題なのは、J-16、Su-30、J-11、必要に応じて出撃する可能性のあるJ-10などの戦闘機群が、効果的な連携を維持できるかどうかが疑問点だ。早期警戒機との通信連携も未知数である。中共の早期警戒機は以前はスウェーデン、その後はアメリカの方式を模倣したが、実際の性能は戦場で明らかになるだろう。​

中共のパイロットは訓練時間が足りておらず、大量出撃すれば混乱が生じることは容易に想像できる。機体の実力も短期間で露呈する。沿岸の航空基地の整備能力も限られており、大規模な連続作戦を支えるのは難しいとみられる。中共が空母を無理に投入すれば、数の少ないJ-15やJ-35は大きな戦力とはならないうえ、空軍との連携をさらに複雑化させる。駆逐艦は空母を護衛しなければならず、戦力の分散も避けられない。​

もし中共空軍が空戦で優位に立てない、あるいは膠着状態に陥れば、中共軍の組織的な戦闘能力の脆弱さが浮き彫りになり、戦場は一層混乱するだろう。​

仮に中共空軍が空中戦を維持できたとしても、空爆能力によって海上作戦を効果的に支援するのは難しい。J-16が搭載するYJ-83対艦ミサイルは性能が古く、中東で同型ミサイルがアメリカ軍によって度々迎撃され、一部は目標にも到達していない。最大射程は180キロで、日本艦艇を攻撃するには力不足である。Su-30の旧型ミサイルではさらに条件が悪い。​

日本の航空自衛隊F-2戦闘機(日本航空自衛隊)​

日本のF-2戦闘機は、国産で、F-16相当機で、高い対艦攻撃能力を持ち、主に対艦攻撃任務に用いられている。最新型ASM-3対艦ミサイルを搭載でき、その射程は400キロ、速度はマッハ3を超える。中共軍艦にとっては極めて対処が難しい兵器である。中共空軍は東シナ海の空戦で一定の能力を示し得るとしても、空爆能力に関しては日本に大きく劣る。​

中共のH-6爆撃機はYJ-21対艦ミサイルを装備し、遠距離攻撃を行えるが、このミサイルはDF-21Dの派生型に過ぎない。ところが中共ロケット軍の汚職事件後、かつて「空母キラー」と呼ばれたDF-21Dは、倉庫から撤去されたとされる。空中発射型のYJ-21が実戦で欠陥を晒すようなことがあれば、アメリカ軍に対する抑止力としての虚勢も通用しなくなる。​

中共ロケット軍は正体を見抜かれることを恐れているのか?

11月27日、中共の中央テレビ(CCTV)は、「多型ミサイルが連携して敵を一掃」「極超音速兵器の核心設計を公開」「巡航ミサイル戦闘発射の全工程を解説」といったタイトルの映像を多数公開したが、いずれも過去映像の再編集であった。これは国防部の「痛撃せよ」といった威嚇発言に歩調を合わせたプロパガンダである。​

2025年9月3日、中国共産党のYJ-20対艦ミサイルが北京軍事パレードに登場した(Lintao Zhang/Getty Images)​

9月3日の軍事パレードでは、YJ-15、YJ-17、YJ-19、YJ-20など多数の新型対艦ミサイルが意図的に展示された。艦載機、水上艦、潜水艦など異なる発射プラットフォームから使用する設計である。これは、中共が以前模倣してきたロシア型のYJ-83、YJ-91、YJ-12、YJ-18などに、もはや十分な自信を持っていないことを示している。​

中共は自ら誇る超音速ミサイルの性能についても、実際には確信を持ち切れていない。開発を担当する軍需企業での汚職が相次ぎ、実性能に対する疑念が軍内部でも広がっているためである。そこで中共は、型番が多く維持管理が難しくなることを承知のうえで、試作品まで含めて一斉に「お披露目」し、安心感を演出しようとしている。しかし、それはむしろ自信喪失の表れと受け止められる。​

もし中共が日本との戦いで、これらのいわゆる「新型対艦ミサイル」を総動員したり、DF-26弾道ミサイルを発射して日本本土を攻撃したりすれば、その実力は否応なく可視化される。大部分が迎撃され、イランがイスラエルを攻撃した際と同様の結果に終わるようであれば、中共が「切り札」としてきた戦力は看板倒れとなろう。​

日本のミサイル防衛システム概念図(日本防衛省)​

日本はPAC-3パトリオット防空システム部隊を全国に十数〜二十数ユニット規模で展開しており、これに加えてイージス艦に搭載されたSM-3ミサイルによる弾道ミサイル防衛能力を有する。さらに、SM-6の導入も進められており、今後は最新の駆逐艦でSM-3とSM-6の両方を運用できる体制が整えられる見通しだ。

これらのシステムは実戦を通じて一定の性能を示してきた。日本は自国製パトリオット迎撃ミサイルをアメリカに納入し、ウクライナ支援で減少したアメリカ側の在庫補充にも貢献したばかりである。​

11月27日、中共CCTVはさらに「遠距離ロケット砲が敵の海上司令中枢を精密破壊」「遠距離火砲が漂流する海上目標をメートル単位で命中」「島嶼作戦、遠距離火砲が勝負を決める」といった映像シリーズも放映した。中共の長距離ロケット砲が日本の島嶼を攻撃できるとのイメージを示唆する内容である。​

しかし、中共の長距離ロケット砲の射程は台湾の一部に届く程度にとどまり、日本全土を攻撃対象とするには現実性を欠く。中共は、日本南西部の島々を占領し、そこから周辺の島を攻撃すると暗に示唆しているが、それは露骨な侵略意図の表明に等しい。​

また、長距離ロケットの精度が「メートル単位」であるとの主張は現実的とは言い難く、東シナ海における遠距離目標への精密命中は困難である。こうした現実性を欠く映像は、中共軍の誇張表現であると同時に、ロケット軍への不信感の表れともいえる。ミサイル戦力に不安を抱えているがゆえに、代替戦力としてロケット砲の能力をことさら強調しているのである。​

中共は反日宣伝のためにはあらゆるレトリックを用いるが、仮に本当にこれらの兵器を総動員して日本と戦えば、その戦力の限界は明確になる。台湾海峡で誇示してきた兵器群の一部はアメリカ軍を牽制する「看板」ともなってきたが、中共が新たな「日中戦争」を本気で仕掛ければ、勝敗の如何にかかわらず、その実際の軍事力は大きく露呈することになるだろう。​

2025年2月7日、アメリカ、日本、オーストラリアの各種戦闘機が太平洋上空で共同演習を行った(日本航空自衛隊)​

中共は米日同盟に手を出す勇気があるのか?

もし中共が日本を攻撃すれば、米日同盟が発動され、アメリカ軍は全面的に日本を支援することになる。アメリカは日本に衛星情報を提供するほか、中共の北斗衛星の信号を遮断する可能性もあり、それによって中共は長距離での位置測定、目標追跡、誘導の能力を大きく損なうだろう。さらにアメリカ軍は強力な電子妨害を行い、中共の艦艇や戦闘機を機能不全に陥らせ、通信を遮断し、部隊間の連携を困難にする。アメリカ軍はまた、即座に日本を支援して中共のミサイル迎撃にあたるとみられる。​

アメリカ軍は一時的に前線に姿を現さない局面もあり得るが、実質的には各戦域に存在し、中共軍の行動を近距離で監視して弱点を把握し、必要に応じて致命的な一撃を加えることになる。日本はトマホーク巡航ミサイルの配備を開始しているが、現時点では中共の攻撃拠点、たとえばミサイル発射陣地や基地などを、攻撃の初期段階に限定して反撃する構想である。しかし、日米同盟が発動されれば、アメリカ軍にはより多様な攻撃オプションが与えられる。もし中共が日本国内のアメリカ軍基地を攻撃すれば、アメリカ軍はためらうことなく反撃に転じることは間違いない。​

日本にある複数のアメリカ軍基地は、日米の共同使用施設となっている。中共のミサイルがこれらの基地を攻撃対象とするならば、それはアメリカ軍への攻撃とみなされ、アメリカ軍の反撃は急速にエスカレートし、戦闘は東シナ海や中共ロケット軍の基地にとどまらない可能性が高い。これが中共軍にとって壊滅的な事態となるのは確実である。​

もしアメリカ軍の爆撃機が出撃して空爆を行えば、中共東部・北部戦区の海軍基地や沿岸の空軍基地などが標的となるだろう。さらにアメリカ軍は戦線を南シナ海や黄海まで拡大する可能性があり、中共軍は到底対応しきれなくなるとみられる。​

中共にとって最大の屈辱は、発射した各種ミサイルが制御不能に陥ったり墜落したり、多くが迎撃されたりする一方で、米日が発射したミサイルを中共側が十分に迎撃できない事態にある。その場合、中共軍の実力は否応なく白日の下に晒されることになる。​

中共メディアの中央テレビ(CCTV)はまた、「JL-1+H-6N、核攻撃能力が大幅に向上」と題する動画を発表し、日本への核兵器使用をほのめかした。日本は核兵器を保有していないが、アメリカの核抑止の傘の下にある。もし中共が日本に対して核兵器を使用すれば、アメリカが直ちに中共への核報復に踏み切る可能性がある。アメリカ軍の戦略ミサイル原子力潜水艦は即座にトライデント・ミサイルを発射でき、B-2爆撃機がB61戦術核爆弾を搭載して中共ロケット軍の各ミサイル基地を空爆するシナリオも想定される。​

中共はかねてより台湾侵攻を準備しており、その際に日本国内のアメリカ軍基地を同時攻撃する可能性も指摘されている。この場合も日米同盟が発動されることになる。したがって、「台湾有事は日本有事」という警句は、実際には「アメリカと日本の有事」となる可能性を強く示唆している。​

2025年6月21日、アメリカ空軍のB-2「スピリット(幽霊)」爆撃機がミズーリ州ホイットマン空軍基地を飛び立ち、イランの核施設を空爆する「ミッドナイト・ハンマー作戦」に参加した(米空軍)​

中共は本当に戦争を始める勇気があるのか?

中共国防部の発言は強気で、党のメディアも頂点に達するほどの勢いを示している。しかし中共の軍部は、かつての清朝時代の北洋艦隊と同様に、自らの実際の戦闘力をよく理解しているとみられる。もし無謀にも「新たな日清戦争」を仕掛ければ、敗北の可能性が高いだけでなく、自らの軍事力の脆弱さを晒す結果となり、その代償は計り知れない。​

11月26日、中共の軍機関紙は「革心技術の突破で勝利を収めよ」と題する記事を掲載した。記事では「革心的かつ重要な技術は奪うことも、買うことも、頼むこともできない。軍事分野の革心技術はなおさらだ。他国の道を歩むかぎり、永遠に他人の後ろをついていくしかなく、『首を絞められる』(制約される)リスクがある……自主的・独自的な革新を推進し、優先順位を定め、時間表を設定せねばならない」と述べている。​

この文章は、中共軍の技術が独創性を欠き、現在も模倣やコピーに大きく依存していることを公然と認めたものといえる。真の核技術は依然として「首を押さえられた」状態にあると自己分析しているのである。また記事は、「探索的な失敗には寛容であるべき」で、「功を焦り、すぐに結果を求める」傾向を改めねばならないと記している。​

記事の筆者はどの兵器開発が「探索的失敗」や「性急すぎた成果主義」に該当するのか具体的には挙げていないが、これまで誇大に宣伝してきた装備の多くがその範疇に入る可能性がある。​

中共第20期四中全会で採択された「第十五次五カ年計画」案では、中共軍は新たな「三段階」戦略に沿って「伝統戦力の高度化改造」を進め、「国防科学技術の革新と先端技術の転用」を加速させ、軍事教育機関の「教育水準」を引き上げるよう求めている。​

これらのスローガンは、中共軍の近代化がなお道半ばにあることを示している。10月25日、親中派メディア「香港文匯網」は中共の専門家のコメントを引用し、「戦いながら備え、備えながら建設する」ことが今後長期にわたる中共軍の特徴になると解釈した。この報道は宣伝を意図したものだったが、結果的に中共軍の現状認識を露呈した形になった。​

記事はさらに、軍事理論の現代化を「四化建設(装備・理論・人材・体制の現代化)」の革心的保障と位置づけ、理論的指導が欠如すれば、装備、人材育成、制度改革のいずれも「根のない木」になると指摘した。​

これは中共指導部そのものを暗に批判する文言とも受け取れる。現在、中共内部では軍権をめぐる抗争が激化し、現役の上将(大将クラス)はほぼ一掃された。軍事理論の発展を議論する余地は乏しく、軍の腐敗は最大の表向きの問題とされているものの、その本質は派閥闘争にあるとみられる。中共軍の腐敗は、清朝時代の腐敗とは比較にならないほど深刻である。このような状況下で中共が開戦に踏み切れば、惨敗するだけでなく、多くの将官が戦場から逃亡・離反し、兵士の離反・造反が発生するリスクも否定できない。​

日本の高市早苗首相は「台湾有事は日本有事」との懸念を示し、中共軍は「正面から叩き潰す」と威嚇した。党の宣伝メディアは一層調子を上げ、「島嶼戦」や「核の恫喝」といった表現で世論を煽っている。しかし、中共軍が新たな「日清戦争」を仕掛けるだけの実行力と覚悟を持ち合わせているかどうかは極めて疑わしい。そのような行動に出れば、自らの軍事力の実態を完全に暴露する結果となる可能性が高いからである。

(終わり)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
沈舟