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高市総理 FIIサミットで「危機管理投資」提唱 「進撃の巨人」引用し世界に「日本に投資を」

2025/12/02
更新: 2025/12/02

高市早苗総理は、令和7年12月1日、都内で開催された「FII PRIORITY Asia Summit 2025 in Tokyo」に出席し、講演と質疑応答を行った。高市総理は、日本経済の新たな成長戦略として「危機管理投資」を提唱し、積極的な財政出動と経済安全保障の確保を通じた「強い経済」の実現を国内外の投資家に力強く訴えた。

FIIとは、「Future Investment Initiative(未来投資イニシアチブ)」の略称である。これは、サウジアラビアの巨大な政府系ファンドである公共投資基金(PIF)が設立・運営するFII Instituteが主催する、世界的な投資フォーラム、またはサミットの名称である。

このフォーラムは、世界の投資家、ビジネスリーダー、政策決定者らが集まり、「未来世代への投資」という目標の下、AI、サステナビリティ(持続可能性)、医療などの重要分野における具体的な投資行動と課題解決について議論する。その影響力の大きさから「中東のダボス会議」とも称され、世界経済への影響力を強めている。

高市総理は冒頭で、自身の内閣が推進する「危機管理投資」が、FIIの掲げる「未来世代への投資」と「軌を一にする」ものであると述べ、共通の課題解決と成長への貢献に意欲を示した。

令和7年12月1日、都内で開催されたFII PRIORITY Asia Summit 2025 in Tokyoで講演する高市早苗総理 (提供:首相官邸)

 

成長の肝は「危機管理投資」

高市総理は、自身の内閣における成長の核は「危機管理投資」であると強調した。これは、経済、食料、エネルギー、健康医療、国土強靱化などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が連携して先手を打つ戦略的投資である。

政府は、AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティなど17の戦略分野を特定し、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興といった多角的な観点から総合支援策を実施していく。さらに、民間投資を後押しするため、官公庁による調達や規制改革による新たな需要創出に加え、複数年度にわたる予算措置のコミットメントによって投資の予見可能性を向上させることを約束した。

総理は、これらの取り組みで供給構造を強化し、「世界の投資家にも信頼いただける経済を実現することで、世界の資本が流れ込む好循環を生み出す」と述べた。

 

経済安全保障とサプライチェーン強靱化

世界情勢の不安定化を背景に、高市総理は、国益確保のための「経済安全保障」の重要性を強調した。特に、国際分業化の結果、重要物資を他国に過度に依存するようになったサプライチェーンのリスクに言及した。

政府は、国際海運を支える造船能力の復活や、レアアースなどの重要鉱物の代替供給ルートの確立を進め、サプライチェーン強靱化のための施策を更に強化する。あわせて、日本・サウジアラビア両国を含む同志国企業間のサプライチェーン連携を加速させる意向を示した。

スピーチの結びでは、人気アニメ『進撃の巨人』のセリフを引用し、「Just shut your mouths. And invest everything in me!!(いいから黙って、全部俺に投資しろ」と発言。これは、アニメ『進撃の巨人』のシーズン1の第14話で、主人公のエレン・イェーガーが、巨人化の能力が明らかになり裁判にかけられた際、自己の存在と価値を主張するために発したセリフとして知られている。高市首相はさらに「Japan is back. Invest in Japan.」と述べ『今こそ日本に投資する時だ』という強いメッセージで投資を促した。

都内で開催されたFII PRIORITY Asia Summit 2025 in Tokyoの様子(提供:首相官邸)

 

市場の懸念に対する「責任ある積極財政」

質疑応答では、FII Instituteのリチャード・アティアス氏から、高市政権の「積極財政」に対する懸念について質問があった。

総理は、「責任ある積極財政」に基づき戦略的に財政出動を行うとし、今回の経済対策においても、危機管理投資・成長投資に重点を置きながらも、通年の国債発行額を前年度より減らす姿を確保していると明言した。今後も金利などの動向に留意しつつ、財政運営を行い、「強い経済」を実現しながら、「債務指標の着実な改善を続けることで、日本経済の成長力と日本財政への国内外の信認を同時に引き上げていく」ことを目指すとした。

また、企業収益と賃金・投資の停滞への対応については、経営資源を人材や新事業の研究開発等の投資に活用させるため、コーポレートガバナンス改革の議論を開始したことを紹介した。さらに、政労使会議を通じ、物価上昇を上回るベースアップ、特にベースアップの実現を産業界に要請し、労働時間規制の緩和検討を関係大臣に指示したことを明らかにした。「継続的に事業者が賃上げできる環境を整えることこそが政府の役割」との考えを示している。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。