台湾有事は日本の「存立危機事態」に該当するとした高市早苗首相の国会答弁に対し、一部撤回や謝罪を求める声が出る中、山尾志桜里元衆院議員は11月19日、X(旧ツイッター)で「総理発言の撤回や謝罪を求めるなど、日本の国益を考えたら論外です」と指摘した。
高市首相は中国が台湾の周りを海上封鎖するような場合には、「存立危機事態になり得る」と答弁。存立危機事態に該当する際、日本は集団的自衛権を行使できる。高市氏の答弁に対し、中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事がXで「汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿するなど、日中間で摩擦が生じている。
一部で高市氏に発言の撤回や謝罪を求める声が出ている中、山尾氏は19日、Xで「高市総理にも問題があったというナラティブは、『どっちもどっち 』論に転用されかねず、中国を不当に利する」と指摘した。
そのうえで、「総理発言の撤回や謝罪を求めるなど、日本の国益を考えたら論外です」との認識を示した。
中国共産党政権は最近、高市氏の答弁への対抗措置として、日本産水産物の輸入手続きを停止した。
山尾氏は、このことについても「脅しが効かないと今度は経済的威圧。今の中国が取引相手として信用できないハイリスク国であると世界が再確認。中国依存への脱却のアクセルになる」との見方を示した。
中国共産党(中共)政権による輸入停止措置の対象となった、豪州のワインや台湾のパイナップル、リトアニアの牛肉、日本の水産物などの例を挙げ、「互いに支援しあい、中国以外の販路を拡大し、不当な威圧に対抗してきました」と語った。
続けて、「ここで国際社会の理解と協力を得るためにも、高市発言は「台湾危機と存立危機事態に関する従来の政府見解にのっとった何ら瑕疵(かし・法律において意図された効果が欠けている状態)のないものである」ということを揺るぎなく、明確に伝えていく必要があります」と訴えた。
中共側の反発についても、山尾氏は別の投稿で「そもそも日本の総理が、日本の国会で、日本国民にとっての超重要論点を穏当に正直に説明したことを、他国から非難されるいわれはない」と述べた。
「外交問題だからと外国の反応をおもんばかって、国民からみて納得できない態度に終始して、一番大事な国民の支持を失ったら外交なんてできません」
薛剣の問題発言についても、山尾氏は「本来ペルソナ・ノン・グラータの通告案件。削除したから不問に付すというレベルの話ではなく、少なくとも中国政府に召喚を要求するべきかと」と話した。
SNS上では、薛剣を「ペルソナ・ノン・グラータ」として国外退去を求める声が広がっている。
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