EU委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は10月25日、中国共産党(中共)によるレアアースの輸出制限の拡大を厳しく批判した。ライエン委員長は、EUは中国への重要原材料の依存を減らすため「資源循環計画」を策定中であると明かした。
ヨーロッパ委員会委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏
「私たちは現在、新たな『EU資源循環計画』を立案している。計画では、過去の再生エネルギー政策をモデルとしている。プーチン氏がヨーロッパ向けのロシア産化石燃料の供給を停止した際、再生エネルギー政策によって、私たちはエネルギー危機を乗り越えることができた」
ライエン委員長は25日、中共のレアアース輸出制限への対応策として、EUは「資源循環計画」を打ち出す方針を表明した。目的は、ヨーロッパの産業が短期・中期・長期のいずれにおいても重要原材料を安定して確保できるよう、代替供給源の確立を目指すことだ。計画には、ヨーロッパ市場で販売される製品に含まれる重要原材料のリサイクルを強化する施策も盛り込まれる。
今月9日、中共はレアアースと電池材料の輸出規制をさらに強化した。ライエン委員長は、この措置がヨーロッパ産業界に広範な影響を及ぼしており、自動車、防衛、航空宇宙分野に加え、AI(人工知能)チップやデータセンター分野などにも深刻な影響をもたらしていると指摘した。
ヨーロッパ委員会委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏
「中国が10月9日に発表した決定は重大なリスクをもたらしている。こうした措置は、中国以外の国々の成長や発展を著しく妨げるものだ」
EUは長年にわたり、中国への依存を減らす取り組みを進めてきた。これは、クリーンエネルギー転換に必要な鉱物資源、防衛産業、電気自動車生産など、幅広い分野に関連している。
さらに、ライエン委員長はEUがオーストラリア、カナダ、チリ、グリーンランド、カザフスタン、ウズベキスタン、ウクライナなど各国と重要な原材料分野でのパートナーシップを加速させる方針も示している。
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