米中が激しいレアアース戦争を繰り広げる中、トランプ米大統領と高市早苗首相による会談が注目を集めている。米日がレアアース協力を強化することは、両首脳の議題の一つとなる可能性が高い。
日本経済新聞によると、アメリカのジョージ・グラス駐日大使は25日、富士山対話で講演し、中国共産党(中共)がレアアース製品の輸出規制を拡大する中で、日米が合意した5500億ドルの対米投資の一部が「アメリカの採鉱と鉱石加工産業の振興・発展に充てられると述べた。
グラス氏は講演で、中共がレアアースおよび関連技術に対して広範な輸出規制を行っていることを批判し「これは世界的なサプライチェーンを締め付け、支配しようとするもう一つの策略だ」と指摘した。
同大使によると、アメリカのレアアース輸入の70%以上が中国に依存しており、少なくとも15種類の重要鉱物については完全に輸入に頼っているという。
「朗報は、アメリカと日本がこうした持続不可能な状況を打開する解決策を模索していることだ」と述べ、日本が7月にアメリカと締結した貿易協定に含まれる5500億ドルの対米投資について言及し、その一部が米国内での鉱山開発や鉱石加工に充てられるとした。
トランプ氏は26日にマレーシアで開催されるASEAN首脳会議に出席した。27日に日本入りして3日間の訪日を開始し、高市氏と会談する予定だ。米政府関係者によると、トランプ氏はアジア歴訪中に、貿易や重要鉱物に関する経済協定の締結を目指す方針だ。
高市首相は25日、トランプ氏と電話会談を行い、日本は対中戦略においてアメリカにとって不可欠なパートナーであると伝えた。
トランプ氏はマレーシアに向かう専用機エアフォースワン内で記者団に対し、高市首相を高く評価し「彼女について多くの良い話を聞いている。彼女は素晴らしい人物だと思う。安倍氏の親友であり、安倍氏は偉大な人物であり、私の親友でもある」と述べた。
また、高市氏と会うのを「楽しみにしている」と語った。
記者から、高市氏が米フォードF-150ピックアップトラックの購入を検討しているとの報道について問われると、トランプ氏はその情報を知らなかったようで「それは素晴らしい。あのトラックは最高だ。彼女は良い趣味を持っている。F-150は人気モデルだ」と述べた。
さらに記者が、高市氏がアメリカとの再交渉を試みる可能性について質問すると、トランプ氏は「彼女はそうするかもしれない。私はオープンだ……アメリカと日本の関係は素晴らしい。彼女とも極めて良好な関係を維持していく。何が起こるか見てみよう」と答えた。
日本はすでに2010年、中共によるレアアース禁輸の影響を経験した。当時、両国間の領土問題が激化する中、中共は日本に対しレアアースの輸出を禁止した。禁輸は約2か月で解除されたが、世界第4の経済大国である日本は、この出来事を契機にサプライチェーンの安全保障戦略を転換した。
それ以降、日本は備蓄、リサイクル、代替技術の推進に加え、中国以外のレアアース事業への投資を強化し、特にオーストラリアのライナス社に注力してきた。ライナス社は中国以外で最大のレアアース生産企業である。
25日の富士山対話では、一部の専門家が中共の輸出規制に懸念を示し、中国との経済的関与に伴うリスクが高まっていると警告した。
米外交問題評議会の上級研究員であるマシュー・グッドマン氏は、中共の動きを世界経済への「束縛」と表現し、それが「比較的新しい現象だ」と指摘した。
同氏は、これまで中共は主に外国企業の市場参入を制限してきたが、輸出分野でも統制力を強化し「他国が重要鉱物資源を入手する手段を封じている。これは新たな動きだ」と述べた。
「これらの制限は非常に広範囲に及んでいる」と東京大学公共政策大学院の宗像直子教授は警告し「中共は経済的依存を武器化するレベルを新たな段階に引き上げた」と述べた。
宗像氏は「こうした動きは経済に影響を及ぼすため、各国は経済運営において国家安全保障を考慮する必要がある」と強調した。
戦略国際問題研究所(CSIS)の地政学・外交政策部門議長で韓国問題担当のビクター・チャ氏は、西側諸国が「集団的抑止力」を構築し、重要鉱物などの問題における中共の威圧に対抗すべきだと提言した。
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