トランプ大統領は10月15日、インドのモディ首相がロシアからの石油購入停止を約束したと発表した。この動きは、ロシアへのエネルギー収入を断つことで、ウクライナ侵攻の終結を後押しする狙いがあるとみられる。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、インドがロシア産原油を購入していることに「不満を感じていた」と述べたが、モディ氏は数日前に「今後ロシアから石油を購入しない」と約束したという。
「これは重要な一歩だ」とトランプ氏は語り、「次は中国にも同じことをさせる必要がある」と付け加えた。
さらにトランプ氏は、「中東で先週成し遂げたことと比べれば、これはずっと容易だ」と述べ、「必ず実現できると思う」と自信を示した。
トランプ氏は、インドが「直ちに」輸入を止めることは難しいとしながらも、「これは短い過程であり、そのプロセスはすぐに完了するだろう」と強調した。
この発表に対し、インド駐米大使館とインド外務省はコメントを控えており、実際にいつ停止措置が取られるのかは不明だ。
インドと中国は、ロシア産原油の海上輸出における主要な買い手で、ロシアはインド最大の石油供給国でもある。ロシア産はインドの輸入量全体のおよそ3分の1を占めている。
インドによるロシア産原油の購入を抑えるため、トランプ政権は強硬な経済措置を取った。トランプ氏は8月、インドから輸入される商品に対して25%の追加関税を課すと発表し、これにより対インドの総関税率は50%に達した。その理由として、インドのロシア産原油購入が「ロシアの戦争努力を助長している」と述べた。その後トランプ氏は、ヨーロッパ諸国に対してもロシア産石油の購入制限をさらに強化するよう呼びかけた。
15日には、ベッセント米財務長官がワシントンで日本の加藤勝信財務大臣と会談し、日本にもロシア産エネルギーの輸入停止を期待していると伝えた。ベッセント氏はXで、「加藤大臣とは日米経済関係や、日本がロシア産エネルギー輸入の停止へのアメリカの期待について話し合った」と投稿した。
アメリカが数か月にわたって圧力をかけ続ける中、インド政府関係者は、ロシア産石油の購入は国家のエネルギー安全保障にとって不可欠だと主張し、両国関係は一時的に緊張していた。
他の産油国からの輸入に切り替えるとコスト増につながる可能性があるが、原油価格の下落がその影響を和らげる見込みだ。供給過剰への懸念が強まり、15日には、供給過剰への懸念から国際指標のブレント原油先物が5か月ぶりの安値をつけた。
インドが輸入を停止すれば、ロシアにとって主要なエネルギー顧客を失うことになり、他の輸入国にも影響が及ぶ可能性がある。トランプ政権は、多国間制裁だけでなく、二国間の関係を通じてロシアへの経済的圧力を強化する方針を取っている。
数日前には、トランプ氏が指名した新しい駐インド大使のセルジオ・ゴー氏がモディ氏と会談し、防衛や貿易、技術協力などを協議した。ゴー氏はトランプ氏の側近であり、その人選は米印関係の強化を意図したものとみられている。
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