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中国 寄付しても届かない 沈黙の反発が広がる

0.2円の寄付に込められた怒り 中国の台風義援金が映す「信頼崩壊」

2025/10/10
更新: 2025/10/10

台風の直撃を受けた中国・広西チワン族自治区で、災害義援金に「0.01元(約0.2円)」といった超少額の寄付が相次いだ。

公開された寄付明細には、0.01元(約0.2円)、0.02元(約0.4円)、0.1元(約2.2円)といった金額がずらりと並び、ネット上で「善意ではなく、抗議だ」と大きな反響を呼んでいる。

9月下旬から10月初旬にかけて、台風が広西各地を連続して襲い、洪水や土砂崩れで多くの家屋が浸水した。10月6日に発表された百色市慈善総会の募金報告によると、寄付総額は184万元(約3900万円前後)にのぼったが、その中には「1分(0.01元=約0.2円)」といった超少額の寄付が20件以上も含まれていた。

 

百色市慈善総会が10月6日に公表した義援金の寄付明細(スクリーンショット)

 

「0.2円の善意」か「0.2円の皮肉」か

この現象について、SNS上では「救災は政府の責任。寄付は善意であって義務ではない」「これは冗談ではなく、民衆の誠意と不信の表れ」「0.01元の寄付は沈黙の抗議」といったコメントが相次いだ。

湖南省の非政府組織(NGO)関係者は語る。
「これは貧しさではなく、不信の表れ。私たちのような民間の支援団体に寄付しようとした人が、公安に呼び出されて止められたこともある。民間に渡ると役人が金を抜き取れないため、政府が運営する団体しか寄付を受け取れないのだ。だが、人々はその仕組みをすでに信じていない。だからこそ、『0.2円の寄付』という形で静かに抗議したのである」

 



被災地から追い出されたチベット人慈善家 中国赤十字会の「お株を奪った」からか?

甘粛地震を受け、中国の著名な慈善家であるチベット人のハン・ホン氏が行っていた被災地救済が、当局によって停止させられた。

 

善意が届かない国 崩れた信頼の記憶

中国では2008年の四川大地震の際、全国民が寄付するほどの熱気があった。

しかし、その後に相次いだ義援金の使途不明や不正流用問題が、人々の信頼を奪った。研究者によると、当時集まった約650億元(約1兆3800億円)のうち、使途が確認できたのは約150億元(約3200億円)ほどで、全体のわずか4分の1に過ぎなかったという。

さらに香港からの寄付金の一部が公表リストから「消えた」と報じられ、透明性の欠如が不信を深めた。「8割以上の寄付が使途不明」とする報告もあり、国民の間では「寄付=届かない」という意識が根付いた。

0.2円の寄付。それは貧しさではなく、失われた信頼への小さな抵抗である。善意が届かぬ社会では、やがて誰も手を差し伸べなくなる。

 



中国・四川大地震「義援金リスト」 最高額の寄付金を集めた香港、マカオ、台湾の名がない?

中国メディアはこのほど、四川大地震の海外各国からの「義援金ランキング」を発表。しかし、多額の寄付をした香港・マカオ・台湾は明記されていなかった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!