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狩る者から狩られる者へ 中共の外相有力候補・劉建超の皮肉な結末

2025/08/22
更新: 2025/08/22

ここ数日、中国共産党外交部長の有力候補・劉建超が、副部長とともに党の内部警察の調査を受けているとの報道や憶測が相次いでいる。

中国に関心を寄せる人々の間で、噂や憶測が渦巻くのも無理はない。劉は他の有力幹部ほど知名度こそ高くないが、その失脚は少なくとも「因果応報」と受け止められているからだ。

とりわけ、中共が世界規模で警察活動や越境弾圧を拡大するなかで、自らの安全に不安を抱く世界中の中国人にとって、その印象はいっそう強い。劉は、党による海外での影響工作や、国外逃亡者を追い詰め中国へ連れ戻す国際的キャンペーンの最前線に立ってきた人物だった。

劉は単に党の要職にあっただけではない。彼は、2018年に大幅に拡張され「国家監察委員会」と改称された党の警察機構を率いていた。この委員会には、恣意的に運用される「留置」を全国規模で運用する権限が与えられていた。

さらに劉は、この「失踪システム」の積極的な推進者でもあった。彼は留置を用い、人々を予告なく拘束し、外部に一切知らせないまま半年近くも監禁することを常態化させてきた。

劉は副部長の孫海燕(同様に拘束中)とともに、中国政権の海外における影響力拡大に重要な役割を担ってきた。劉はヨーロッパを頻繁に訪れ、米国を含む各地域で共産党の影響力を強めてきた。

劉は、海外の議会に働きかけて統一戦線組織への支持を固め、各国政府関係者との接触を重ねる一方、国外亡命者の追跡と「帰国」工作においても中心的役割を果たした。その手段は、直接の脅迫や威嚇から、中国国内に残る家族への圧力、さらには公然たる誘拐にまで及び、「キツネ狩り作戦」や「天網作戦」の名の下に実行されてきた。

こうした経緯から、劉は次期外交部長の有力候補とみなされていた。その理由は明白だ。彼の経歴と行動は際立っており、その歩みは中共内で権力を獲得するための典型的なモデルとされる。浙江省の規律検査部門で昇進を重ね、強硬な反腐敗の執行者としての地位を確立した。

国際協力局のトップ、さらには国際逃亡者追捕弁公室の指揮官として、劉は腐敗幹部を本国に送り返す世界規模の作戦を指揮し、留置システムを運用し、秘密拘禁を認め、反対意見を一切許さない党内調査体制を築いた。現在、劉自身の身体の自由を脅かしているのは、まさに彼が構築したその仕組みである。

現在、劉自身も、多くの強制送還者と同様に、党内部の警察による調査を受けている。8月初旬に拘束され、自宅が家宅捜索を受けたことから、劉も今年、留置制度の下で「失踪」したとみられる約4万~4万5千人の一人に含まれる可能性が高い。

留置は党内部の制度であり、刑事司法とは無関係で、法的権利は一切認められない。この「利点」の一つとして、劉自身もかつて公の場で「これは刑事逮捕や司法手続きではなく、より効果的だ」と述べていた。

路上から連行され留置に収容された者は、多くの場合、行方不明となる。施設は秘匿され、当局が家族に通知する義務もない。法的手続きではないため、弁護人へのアクセスも認められない。被収容者は最長で半年間、独房に監禁され、自殺防止用に改造された部屋で常時監視される。要するに、彼らは文字通り「消える」のだ。

調査官の目的は、自白を引き出すことにある。常に自白であり、必ず自白に至るのだ。国家によって制度化された誘拐に等しいこの仕組みの下では、調査官は何をしても差し支えなく、骨を折ろうが、どのような手段を用いようが監督は存在せず、被収容者を半年間拘束できる。与えられた権限を行使しない理由はない。そして劉も、これまで制度を通過した幹部たちと同様、いずれ自白するだろう。問題は、それがいつになるかという点だけである。

劉は数十年にわたり、党の「規律」装置を操り、その構築に熱心に関与してきた。しかし今や、自らがその仕組みに翻弄されている。狩る者は狩られる者となったのだ。

中共の統治システムは、再びその本質を鮮明に示している。すなわち、その仕組みは、自らの内部さえも食い尽くすのである。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。