外務省は12日、南シナ海に関するフィリピンと中国の仲裁判断発出から9年を迎えたことを受け、岩屋毅外相名で談話を発表した。談話は、2016年に下された仲裁判断が国連海洋法条約に基づく最終的なものであり、当事国であるフィリピンと中国を法的に拘束することを強調している。
日本政府は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を重視しているとし、仲裁判断を尊重し平和的解決を目指すフィリピン政府の姿勢を高く評価した。南シナ海では、現状を力や威圧で変更しようとする動きが続いており、日本はこれに「強く反対する立場」を改めて示した。特に、フィリピンなど関係国の船舶や航空機に対する危険な行動や、航行・上空飛行の自由を妨げる行為が繰り返されていることについて深刻な懸念を表明した。
また、中国が仲裁判断を受け入れない主張について、国連海洋法条約をはじめとする国際法に基づく紛争の平和的解決の原則に反すると指摘。中国の南シナ海における拡張的な海洋権益の主張には法的根拠がないと再確認し、紛争当事国が仲裁判断を遵守し、平和的解決につながることを強く期待すると述べた。
南シナ海問題は、地域の平和と安定に直結する国際社会の正当な関心事項であり、日本をはじめ南シナ海を利用する関係者の正当な権利や利益が損なわれてはならないとした。今後も日本はASEAN諸国や米国など国際社会と連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に努める方針である。


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