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中国 夜の街を駆け巡る中国の若者大軍による「自転車騎行ブーム」が再燃

北京でも「夜の集団サイクリング」がブーム 若者が求めるのは「風」それとも「自由」か

2025/07/11
更新: 2025/07/11

北京中心部を東西に伸びるメインストリートが長安街だ。10車線以上あるこの広すぎる目抜き通りでは、この頃、夜な夜な若者や会社員らが自転車にまたがり、集団で走る姿が見られた。

この一見健康的なブームの背景には、現代中国における閉塞感と精神的重圧があるとされ、当然そこにも政府の監視の目が光っていた。

参加者の多くは、学業や仕事でストレスを抱える大学生や会社員たちであり、「日中に押し込められた息苦しさを夜風で洗い流したい」「ストレスを解放したい」「風に当たって息をしたい」と多くの参加者が口にした。

夜風が運ぶ「ささやかな反抗」

実は、こうした「騎行(きこう)」ブームは北京だけにとどまらず、昨年(2024年)には河南省鄭州市でも爆発的に拡大した。きっかけは、ある女子学生4人が40キロ離れた都市・開封市までスープ餃子を食べに行ったことだが、それがいつしか数万人規模の自転車大行軍に進展し、その映像はSNSで拡散されると、全国の学生に火をつけ、最盛期には20万人を超す学生が深夜の都市を走り抜けたとされる。

 

数十万人規模の「夜間サイクリング」で開封市を目指す学生たち。一部は「自由」の旗を掲げて走行した。2024年11月、河南省鄭州市。(動画よりスクリーンショット)

 

この「騎行ブーム」は一見、無害な若者の遊びに見えるのだが、しかし、中共当局はこれを「政治運動」とみなし、全国の大学に学生の外出を禁じる命令を下した。さらにシェアサイクルの位置制限や交通規制も実施され、ゼロコロナ期さながらの「封鎖」が再来した。それならと、学生たちは「代わりに足で走る!」と、今度は夜間の集団ランニングを始めるなど、創意と反骨を失わない姿を見せた。
 

「夜間ランニングで開封市を目指す」鄭州の大学生たち、2024年11月9日深夜(動画よりスクリーンショット)
「夜間ランニングで開封市を目指す」鄭州の大学生たち、2024年11月10日(動画よりスクリーンショット)

 

「天安門事件(1989年)」や数年前の「白紙革命(ゼロコロナ政策への抗議)」など、とりわけ若者の「自発的な集団行動」は、過去に何度も中国社会を揺るがした。

今や就職難や生活不安に苦しむ中国のZ世代は、国の将来に希望を持てず、「無言の爆弾」と化しつつあるのだ。

政治学者や民主活動家の間では、「若者の不満が限界に達すれば、政府の些細な介入がきっかけで爆発する可能性がある」と警鐘を鳴らす声も上がった。

風を受けて走るペダルの音、その奥に込められたものは「自由に息をしたい」という素朴な願いであった。だが、若者の願いを「治安問題」として封じ込め続ける限り、いつかその風は、暴風となって体制そのものを吹き飛ばすに違いない。若さは、止められないのだ。



学生の集団サイクリングブームが取り締まり 「大学から出れない」学生たち反発強まる=河南省

夜の街を駆け巡る中国の大学生大軍による「自転車騎行ブーム」が取り締まられ、「大学から出れない」学生たちの不満は強まるばかりだ。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!