5月12日、トランプ大統領はホワイトハウスの記者会見で、中国共産党(中共)がフェンタニルの米国流入を阻止することに同意したと述べた。しかしその後、中共外交部はフェンタニルは「米国自身の問題」だと主張した。専門家は、フェンタニルが中共による米国への超限戦の一部であり、このような責任転嫁が米中貿易協議に不確実性をもたらすと考えている。
トランプ大統領は、「我々は中国がフェンタニルを米国に輸送することに対して20%の関税を課してきたが、彼らはこの行為を停止することに同意した。その見返りとして、数千億ドルの関税支払いが免除される。したがって、フェンタニル問題は解決するはずだ」と述べた。
台湾南華大学の国際事務・ビジネス学科専任教授の孫国祥氏は、次のように指摘した。「アメリカ政府はフェンタニルの蔓延を国家的危機と見なしており、これらの致死量は中国の原料、または中国からメキシコを経由してアメリカに運ばれるサプライチェーンから来ている。これにより、アメリカは公衆衛生と国内の人命安全を理由に対中圧力を貿易交渉で正当化している」
トランプ大統領は5月12日のホワイトハウスのブリーフィングで、中国側が米国へのフェンタニル輸入を停止することに同意したと発表した。しかし、中共の外交部報道官、林剣は13日、フェンタニルは米国自身の問題であり、米国の追加関税は不合理だと反論した。
孫国祥氏は「中共はフェンタニル問題を米国の内政問題とし、中国とは無関係だと主張しているが、これは強い政治的意図に基づくもので、法的にも事実にも根拠がない。実際には、中共の主張とは逆に、中国は長年にわたりフェンタニルやその前駆体化学品の最大供給国だ。中共自身も、自国企業がフェンタニル貿易に関与している可能性を認めている」と述べた。
大紀元コラムニストの王赫氏は次のように述べた。「中共はフェンタニル問題に本気で取り組みたくない一方で、取り組むのも非常に難しいと感じている。そのため、フェンタニル関税について今後アメリカとどのように交渉するかに自信がない。また中共は、意図的に「紅白の顔(一方では厳しく、もう一方では穏やかに対応する戦術)」を演じ、協力的な姿勢を見せて事態を一時的に和らげようとしている可能性がある」
今年3月、ラトニック米国商務長官は、中共製造のオピオイド薬がメキシコやカナダを経由してアメリカに流入し続け、毎年約7万5千人のアメリカ人が命を落としていると非難した。
5月14日、アメリカの前駐中国大使バーンズ氏はブルームバーグに対し、トランプ政権が中共に、フェンタニル問題で協力しなければ代償を払うことになると明言したと語った。
分析によれば、米中間の関税戦争に関して正式な合意は存在せず、中共の責任転嫁は貿易戦争にさらなる変動要素を加える可能性がある。
孫国祥氏は「米中貿易戦争は最近の90日間の休戦期間で一時的に沈静化しているが、双方の声明や政策の方向性、長期的な戦略的考慮から見て、貿易戦争は終息しておらず、むしろ戦略的な綱引きと構造再編の新たな段階に突入している」と述べている。
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