習近平が9日間動静途絶える 健康不安や権力動向巡り憶測

2026/06/04
更新: 2026/06/04

中国共産党総書記の習近平が先月26日以降、公の場に姿を見せておらず、今月3日時点で9日間にわたり動静が途絶えている。また、中共機関紙などの官製メディアは例年公表している5月の政治局会議について報じておらず、習近平が5月末から6月初旬にかけて北朝鮮を訪問するとの観測も実現しなかったことから、国内外でさまざまな憶測を呼んでいる。

中共政治局会議は通常、毎月末に習近平が主宰して開催される。新華社通信は会議当日に結果を伝えるのが慣例で、経済情勢の分析や重要文書の審議などが公表される。一方、高官人事など機密性の高い議題については公表されず、「会議はその他の事項も研究した」との表現で締めくくられることが多い。

ところが、6月2日現在までに新華社は5月の政治局会議に関する報道を行っていない。この異例の状況を受け、中国国内外のネット上では習近平の健康状態や党内情勢を巡る憶測が広がっている。

外交日程消化後に「沈黙」

習近平の最後の公的活動は先月25日だった。同日午後、北京の人民大会堂で国賓訪中したセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領と会談し、夜には「友誼勲章」の授与式と歓迎晩餐会を開催した。また同日、パキスタンのシャハバズ・シャリフ首相とも会見した。

その後、先月26日から今月2日まで習近平の公的な活動は確認されていない。官製メディアはこの間、各国首脳との祝電交換や少先鋒の隊員への返信などを伝えたほか、過去の演説内容を掲載するにとどまった。

新華社によると、先月28日にはスリナムやオーストリアとの国交樹立記念日に際し首脳間で祝電を交換。30日にはエジプトとの国交70周年を祝う祝電交換が報じられた。31日には「六一児童節(子どもたちのための記念日)」を前に少先鋒の隊員への返信を送ったことが伝えられた。

北朝鮮訪問説も実現せず

トランプ米大統領が先月13日から15日に北京を訪問し、続いてロシアのプーチン大統領が19日から20日にかけて訪中した後、習近平が北朝鮮を訪れ、金正恩と会談するとの観測が浮上していた。

韓国の聯合ニュースは先月21日、韓国政府高官の話として、習近平が5月下旬または6月初旬に訪朝する可能性が高いと報道した。外交部長・王毅が平壌を訪問したほか、中共側の警備や儀典関係者も北朝鮮入りしていたという。

また、中朝両国の外交当局間で調整が活発化し、平壌の金日成広場周辺で大規模工事が進められていることから、習近平訪問の準備との見方も出ていた。

しかし、現在までに習近平の訪朝は実現していない。中共当局は6月1日、ラオスのトンルン国家主席が2日から6日にかけて中国を公式訪問すると発表しており、習氏の近い時期の訪朝は難しいとの見方が強まっている。

省・部級高官の人事相次ぐ

習近平が公の場から姿を消している間、中共当局は省・部級幹部の人事を相次いで発表した。

先月30日には自然資源部長の関志鷗が湖北省党委員会書記に就任。29日には国務院国有資産監督管理委員会の主任・張玉卓が中国工程院党組書記に転じたほか、中国人民保険集団の丁向群董事長が国家金融監督管理総局党委員会書記に任命された。

また、28日には浙江省や雲南省で副省長人事が発表され、27日には広東省副省長だった馬正勇氏が四川省副省長へ異動するなど、地方高官の異動が続いた。

昨年も類似の動き

習近平の動静を巡っては、前年の2025年にも類似の状況がみられた。

2025年5月21日から6月3日までの約2週間、習近平は公の場に姿を見せず、6月4日にベラルーシ大統領との会談で活動を再開した。この期間にも省・部級高官の人事異動が集中し、官製メディアは5月の政治局会議について報じなかった。

さらに2023年にも、共産党第20回党大会後初となる5月の政治局会議が公表されなかった例がある。ただし当時、習近平自身はロシアのミシュスチン首相やコンゴ民主共和国のチセケディ大統領との会談など、公務を継続していた。

今回の長期不在と政治局会議未公表の背景について、中共当局から公式説明はなく、今後の習近平の動静に注目が集まっている。

東方皓