日本の女性歌手でシンガーソングライターの浜崎あゆみさんは、2025年11月29日に予定されていた上海公演を、中国当局から急遽中止の要請を受けて取りやめた。公演の準備は5日間かけて行われ、200名を超える日本と中国のスタッフが協力していたが、公演準備を終えた28日当日午前に中止の連絡が入ったという。
この突然の決定に、約100名のスタッフやダンサー、バンドメンバーに本番のステージを公演させることができず、約一万四千人の観客に直接謝罪できなかったことを浜崎さんは28日、自身のインスタグラムのストーリーズで強い申し訳なさとともに言葉にした。
また浜崎さんは上海公演2日前の27日、自身のインスタグラムで、次の通り投稿していた。
「今年のアジアツアーは香港でスタートした。香港の人々は私とチーム全員に、非常に多くの愛と励ましで支えてくれた。上海公演に関して、TA(TeamAyu:浜崎あゆみファンの総称)の皆さんにお願いがある。できる限り赤い服装を避けてもらいたい。ステージ上でも赤い衣装と火のエフェクトをキャンセルする。私たちの祈りは香港へ」
浜崎さんは香港で起きた大規模火災に配慮し、上海公演ではステージ演出や衣装の変更を行うと表明していたのだ。また、観客にも火災を想起させる服装を避けて欲しいと伝えていた。しかし上海公演は中止となった。
背景には日中関係の緊張がある。高市早苗首相が11月7日の国会で台湾有事について「存立危機事態になり得る」との認識を示した答弁に対し、中国共産党政権は強い反発を表明した。このような状況下で日本人アーティストの中国公演中止が相次いでおり、ゆず、MINMI、アイドラ、JO1、大槻マキなども影響を受けている。高市首相の発言は国会での具体的な質問に対する誠実な答弁であり、日本国内の世論調査では反対の声よりも支持が上回っている。
今後の動向として、中国は日本に対する経済・文化面での報復措置を強める可能性が高い。高市首相発言以降、中国は日本水産物の輸入停止や留学自粛勧告を実施しており、レアアース輸出制限やさらなる文化交流阻害が予想される。
29日、浜崎さんは自身のインスタグラムを更新し、上海公演が中止となった後、観客を入れずに予定通りのステージを実施したことを明らかにした。
浜崎さんはインスタグラムのストーリーズで、現地メディアが無観客公演を伝えた記事を引用し、「会場に来る予定だった約1万4千人のファンに向けて、出演者とスタッフが本番同様の気持ちでステージに臨んだ」と報告した。
浜崎さんはさらに、こうした環境下でもアジアツアーを前進させていることを自身のインスタグラムで表明した。
「わたしはこのツアーを共に戦い抜いてきた一座の皆と、中国スタッフの皆と、そして日本の大家族と共に前進しています。どうかわたしのことは心配しないでください。どんなに小さなことでも、心を豊かにしてくれるポジティブなことを見つけて、自分自身を守ってください。エンターテイメントは人と人をつなぐ架け橋であるべきで、自分はその架け橋を作る側でありたいと、今も強く信じています」。
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