【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

「いつか同盟国でなくなるかも」 トランプ氏 同盟国向け戦闘機の性能を低下させる考え表明

2025/03/22
更新: 2025/03/22

2025年3月21日、アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は、次世代戦闘機「F-47」の発表に際し、同盟国への戦闘機販売時には性能を低下させたバージョンを提供する方針を示した。この発言は、アメリカの軍事輸出政策における重要な転換点となり得るものとして注目されている。

発言の詳細

トランプ氏は記者会見で、「我々の同盟国は常に最新鋭の戦闘機を求めているが、これらには約10%性能を低下させたバージョンで提供することが理にかなっている。なぜなら、将来彼らが必ずしも我々の同盟国であり続けるとは限らないからだ」と述べた。この発言は、アメリカの防衛産業にとって重要な国際市場である同盟国との関係に影響を及ぼす可能性がある。

背景と意図

このコメントは、アメリカ防衛産業が直面している課題と密接に関連している。最近では、ヨーロッパ連合が8千億ドル規模の防衛イニシアチブからアメリカ企業を排除したほか、カナダやポルトガルがアメリカ製航空機の導入に慎重な姿勢を示している。トランプ氏の発言は、同盟国への武器輸出におけるリスク管理を強調するとともに、国内の防衛産業を支援する意図もあると考えられる。

トランプ氏が提案した戦闘機性能低下政策がアメリカの国内防衛産業を支援する理由は、以下のような要因によるものである。

 1.国内生産の優先化

トランプ氏は、同盟国への販売用戦闘機を「性能を10%低下させたバージョン」にする意向を示している。この方針は、アメリカが保有する最新技術を保護しつつ、同盟国に対して競争力のある製品を提供することを目的としている。これにより、アメリカ内での生産が強化され、国内防衛産業への依存が高まる。特に、ボーイングが次世代戦闘機「F-47」の契約を獲得したことで、同社の生産拠点であるミズーリ州セントルイスが活性化される見込みである。

2. ボーイングへの支援

ボーイングは近年、防衛部門と商業部門の両方で課題に直面していたが、「F-47」の契約獲得により、数十年間にわたる戦闘機生産ラインの維持が可能となる。この契約は初期段階で200億ドル以上とされており、長期的には数百億ドル規模の注文につながる可能性がある。このような大規模な投資は、ボーイングだけでなく関連するサプライチェーン全体にも恩恵をもたらすものである。

3. 防衛市場での競争力維持

トランプ氏の政策は、ロッキード・マーティンによる独占を防ぎ、防衛市場で複数の企業が競争できる環境の維持を目指している。このことにより、ボーイングなどの企業が新しい技術や製品開発に取り組むインセンティブが生まれる。また、性能低下版の戦闘機を海外市場に提供することで、アメリカ製品への需要を確保しつつ、国内技術の優位性を守ることができる。

4. 同盟国への輸出拡大

性能を低下させたバージョンは同盟国向けに販売するため、新たな市場機会を創出する。これにより、防衛産業全体として輸出額が増加し、国内経済への貢献度も高まる。同時に、輸出型戦闘機はアメリカ製品への依存度を高めるため、安全保障上の影響力も強化される。

5. 国内雇用創出

新しい戦闘機プログラムや輸出拡大によって、多くの雇用を創出する可能性がある。特に航空宇宙分野では、高度な技術職や製造職を必要とするため、地域経済への波及効果も期待できる。

以上の要素から、トランプ氏の政策はアメリカ内防衛産業への支援と競争力強化につながるものと考えられる。

同盟国からの懸念

この方針は一部の同盟国から批判を招いている。例えば、カナダでは88機のF-35購入計画(190億ドル相当)の再検討が進められており、「性能が低下した戦闘機では意味がない」とする声も上がっている。また、この政策変更はアメリカ製兵器への信頼性低下につながり、ヨーロッパやアジア諸国が他国製の戦闘機へと移行する可能性を指摘する。

影響と展望

トランプ氏の発言は、アメリカの軍事輸出市場における競争力低下や外交関係への影響を引き起こす可能性がある。一方で、この方針が国内防衛産業への支援やリスク管理強化につながる可能性もある。

今後、各国政府や防衛産業界からさらなる反応が予想される。トランプ氏による「F-47」の発表と戦闘機の販売方針は、アメリカの軍事外交政策において重要な試金石となりそうだ。

大紀元エポックタイムズジャパン記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。