ホワイトハウスでトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談が28日、口論に終わった。ゼレンスキー氏はトランプ大統領が提示したウクライナの鉱物資源の共同開発に関する協定には合意せず、トランプ氏の指示でホワイトハウスを後にした。
今回の会談ではトランプ氏は「第三次世界大戦を賭けており」「あなた方の行為はあなたを支えている国に対して非常に無礼だ」と述べた。
バンス氏もゼレンスキー大統領に「この会談で一度でもありがとうと言ったのか?」と尋ねた。
なぜ米ウ会談が破談したのか
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、欧米諸国は多額の支援をウクライナに提供してきた。トランプ大統領は会談でウクライナに対してアメリカは3500億ドル(約52兆円)支援してきたと述べた。約9兆円だった日本の令和6年の防衛予算の約6倍となる。
日本もウクライナを積極的に支援しており、FNNの報道によると、ロシアのウクライナ侵攻開始からの支援額は1兆2千万円に及ぶ。日本の防衛費の6年分にあたる膨大な金額の支援を受けたものの、ウクライナの戦況は思わしくない。
そうした多額の援助にもかかわらず戦果が上がらないことに対して、欧米諸国には疑念の声も上がる。ウクライナはトランスペアレンシー・インターナショナルが毎年発表する腐敗ランキングでも180か国中122位にランク入り。ゼレンスキー大統領も認めるほどの汚職大国だ。支援の不正利用への疑念や「支援疲れ」と呼ばれる現象が欧米で広がりを見せていた。
三井物産戦略研究所によると、米国では、ウクライナへの支援物資の不正流用を懸念する声が議会を中心に高まり、これを受けて、国防総省、国務省、国際開発庁の査察官が合同査察を実施していたという。
CNNによると、侵攻を開始したおよそ半年後の2022年10月には、米国務省がウクライナへ供与した兵器が犯罪人らの手に渡ることを阻止する対策を実施していると述べていた。
プライス報道官は、ウクライナ側も受け取った防衛装備品の適切な保護や管理を約束しているものの「米国はこれら兵器が悪しき人物らに流出することを警戒し続けている」と指摘したという。
支援の長期化に伴い、その効果に対する厳しいチェックの必要性も高まっている。2022年、G7を中心に「ウクライナ復興ドナー調整プラットフォーム」が立ち上げられ、復興資金のモニタリングと管理を行うこととなったが、未だ汚職が解決したという報道は見られない。
今回、締結される予定のウクライナの鉱物資源に関する協定について、トランプ大統領は、ウクライナへの軍事支援に対する費用回収手段として捉えており、ウクライナ政府が採掘した鉱物の収益の50%を米国が管理する基金に拠出し、その収益を米国のさらなる投資に充てるという提案だったが、破談となってしまった。
会談後、トランプ大統領はTruth Socialで「ゼレンスキー大統領は、アメリカが関わっている限り、平和交渉に応じる気はないようだ」と投稿した。
ゼレンスキー大統領はXに「アメリカに感謝する。支援に感謝する。今回の訪問に感謝する」と投稿している。
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