米最高裁は2月26日、トランプ政権に対し、対外援助の支払いを深夜までに再開するよう命じた連邦地裁の決定を一時的に停止した。
トランプ政権は同日夜、最高裁に緊急上訴を行い、判決が確定するまでの間、支払い再開の期限である深夜の締切を停止するよう求めた。
最高裁のジョン・ロバーツ判事は、同件について最高裁が正式に判断を下すまで、この命令は保留されると述べた。
連邦地裁の命令と政府の対応
米連邦地裁のアミール・アリ判事は2月13日、トランプ政権が1月20日以前に契約された対外援助資金の支払いを凍結したことを受け、米国際開発庁(USAID)と国務省に対し、これらの資金の支払いを再開するよう命じた。
援助停止に異議を申し立てた原告側は、政府の対応が遅れていると主張。これを受け、アリ判事は2月26日深夜までに支払いを再開するよう命じた。
しかし、政府側はこの命令に反論した。サラ・ハリス訟務長官は裁判所への申し立ての中で、11時59分という厳しい期限について「突然、基準が変更された」と批判。
「この期限は、原告側の請求書や資金引き出し要求に基づくものではない。政府の計画的な審査プロセスを混乱に陥れるものだ」と述べた。
ハリス氏は最高裁に対し、支払い再開の期限を停止するよう即時判断を求めた。また、政府は短時間のうちに支払いを再開することは現実的に不可能であり、「この命令が実行されれば、政府が裁判所侮辱罪やその他の制裁リスクに直面する」と警告した。
トランプ政権の対外援助削減方針
同日、米コロンビア特別区巡回控訴裁判所は、トランプ政権の対外援助停止に対する司法省の上訴を棄却。この決定を受け、政権側は最高裁に救済を求めた。
トランプ大統領は、USAIDの改革を進める中で対外援助の支払いを一時停止しており、これに対して多くの団体が訴訟を起こしている。
26日、トランプ政権はUSAIDの対外援助契約の90%以上、総額600億ドル(約9兆円)の連邦支援を削減する方針を発表。米国による開発援助や人道支援契約のほとんどが、今回の削減の影響を受けることになる。
政権の計画を詳細に記した通達によると、当局者らは「長年続いた官僚機構の無駄を一掃している」と説明。今後、国務省やUSAIDによる対外援助の提供方法について、さらなる変更を発表する予定だという。
トランプ大統領は就任初日に、対外援助プログラムを90日間かけて精査するよう指示。その結果、ほとんどの対外援助が即座に凍結された。
USAIDの職員の大半が休職または解雇されていた。
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