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トランプ政策推進へ 米下院が歳出削減・減税の予算案を可決も前途多難

2025/02/27
更新: 2025/02/27

アメリカ下院は2月25日、マイク・ジョンソン下院議長が主導する大規模予算案を217対215の僅差で可決した。この決議により、1.5兆ドルの歳出削減、4.5兆ドルの減税、4兆ドルの債務上限引き上げが関連委員会に指示されることになった。

共和党の勝利

投票直前に一度撤回が発表されたが、突然再提出され、多くの議員が議場に急ぎ戻る事態となった。

民主党は、通常の電子投票ではなく紙の投票用紙を使用することで投票時間を延長し、出席可能な全議員が反対票を投じるための時間を確保しようとした。最終的に共和党が僅差で可決した。多くの議員がジョンソン議長と握手を交わし、勝利を祝った。

ジョンソン氏は記者団に対し、「やり遂げた」と簡潔に述べた。

「まだ多くの課題が残っているが、今夜は祝おう。明日から本格的に取り組む」と意欲を示した。

民主党の反発と今後の課題

一方、ペロシ元下院議長は、この決議を厳しく批判。「共和党はメディケイド(低所得者向け医療保険)の資金を削り、大企業や富裕層への減税に充てる」とXに投稿した。

決議の可決により、下院の複数の委員会で歳出削減の検討や、国境警備、国防、エネルギー、税制に関する法案の策定作業が進められることになる。

しかし、今回の可決は第一歩に過ぎず、トランプ大統領の政策を一本化した法案の成立には、共和党の結束が不可欠だ。現在の下院では、重要な採決で許容できる離反はわずか1票と、厳しい状況が続いている。

こうした背景から、ジョンソン氏と共和党は、主要政策を包括した法案の一括成立を目指す戦略を採用。しかし、党内には立場の異なる議員が多く、意見の対立は避けられない。多くの争点を含む大規模な法案で合意を得るのは容易ではないと言う。

共和党内で歳出削減をめぐる対立—予算案可決も意見の隔たり

米下院の予算案可決に先立ち、共和党内で歳出削減に関する意見の違いが鮮明となった。削減に慎重な議員と、より大幅な削減を求める議員の間で意見が対立している。

例えば、マリオタキス議員、ドリュー議員、ベーコン議員は、メディケイド(低所得者向け医療保険)への影響を懸念し、予算案に慎重な姿勢を示した。

今回の予算案では、下院エネルギー・商業委員会が最低8800億ドルの歳出削減を求められており、その一部がメディケイドに及ぶ可能性が高い。このため、メディケイドに依存する有権者の多い選挙区を持つ議員にとっては、政治的リスクとなる。

一方、ビクトリア・スパーツ議員とトーマス・マッシー議員は、削減額が不十分との立場を取った。

スパーツ議員は、メディケイドの支出削減と不正防止の強化を主張し、同制度が自動的に拡大する仕組みになっているため、無駄が多いと指摘した。

また、マッシー議員は、今回の予算案が4.5兆ドルの減税を含む一方、歳出削減は1.5兆ドルにとどまることを問題視し、財政赤字を拡大させる懸念を示した。最終的に、マッシー議員は唯一の共和党反対票を投じた。

しかし、他の反対派議員は最終的に賛成に回り、予算案は可決された。ただし、共和党内の財政政策に関する対立は根強く、今後の具体的な法案策定にも影響を与える可能性があると言う。

上院共和党は慎重な姿勢—ジョンソン議長の予算案に疑問視も

米上院の共和党議員らは、ジョンソン氏が単一の予算案を成立させられるかについて懐疑的な見方を示している。

先週、上院は2段階の予算案の第一案を可決。この案では、税制改正の議論を先送りしつつ、国境警備、国防、エネルギー政策の即時見直しを進める内容となっている。

トランプ大統領は、ジョンソン氏の案を支持しているが、必要であれば上院案の2段階方式も受け入れる可能性を示唆している。

ジョン・スーン上院多数党院内総務は、上院の対案はあくまで「ホワイトハウスに選択肢を提供するためのもの」と説明。一方、グラム上院予算委員長は、ジョンソン議長が、下院で単一の包括的予算案を成立させるのは困難との見解を示している。

現在、共和党は上院で53議席の僅差の多数派を握るものの、スーン氏もグラム氏も、もしジョンソン氏が単一の大型予算案を通せるなら、それが望ましい選択肢であるとの立場をとっている。

最終的に議会が下院案を採用するのか、上院案に寄せるのかは、今後数週間にわたる共和党内の交渉次第となる。

ジョンソン議長「プランBはない」

ジョンソン氏は、2月27日の投票前に、大紀元に「上院案はプランBではない」と強調し、「これは唯一の計画だ」と述べた。

また、下院予算委員長ジョディ・アリントン氏は、今後数週間でジョンソン氏とスーン院内総務が予算案のすり合わせを行う見込みだと説明。

「上院共和党は下院の動向を見守っていたが、我々が可決できることを証明した」と述べた。

ジョンソン氏は、4月までに予算案を完成させ、5月までに上下両院で最終可決させる意向を示している。

エポックタイムズ記者。米国政治と米国議会を担当
エポックタイムズ記者。主に議会に関する報道を担当。