AP通信の大統領執務室と大統領専用機エアフォースワンでの取材が禁止されたことをめぐり、2月24日、連邦地裁の判事が同社が求めた差し止め命令を退けた。
ワシントン連邦地裁のトレバー・マクファデン判事は、AP通信がホワイトハウスへの特別アクセスを求めており、同社が回復不能な損害を受けていないため、緊急措置は必要ないとする政府の主張に同意し、この申請を却下した。
問題の発端は、トランプ大統領が大統領令で「メキシコ湾」を「アメリカ湾」と改称するよう指示したことだった。AP通信は、自社のスタイルブック(編集指針)に基づき、「地名はすべての読者に分かりやすいものを使用する」として「メキシコ湾」の表記を継続した。これに対し、ホワイトハウス報道官レビット氏は2月11日、AP通信のホワイトハウス主任記者ジーク・ミラー氏に「今後、記事で『アメリカ湾』と表記しない限り、AP通信をホワイトハウスの記者団(プレスプール)から排除する」と通告した。
同社は憲法修正第1条(言論の自由)および第5条(適正手続き)の違反として、ワイトハウスのレビット報道官、次席補佐官テイラー・ブドウィッチ氏、首席補佐官スーザン・ワイルズ氏を提訴した。
ホワイトハウス側はその申し立てを棄却するよう求め「AP通信は他のメディアと同様にホワイトハウスの取材を続けることができており、報道の自由は侵害されていない」と主張した。また「AP通信には、大統領執務室やエアフォースワン、大統領の私邸(マー・ア・ラゴ)への無制限なアクセス権はない」と指摘。また、シェリル対ナイト(Sherrill v. Knight)判決を引用し「大統領が一部のジャーナリストにインタビューを許可したからといって、すべての記者に同様の機会を与える義務はない」との見解を示した。
政府側はさらに、ボルチモア・サン社対エアリッヒ事件の判例を引用し「当局が記者の報道が客観性を欠いていると判断した場合、記者の取材を拒否することがある」と指摘し、これは憲法違反には当たらないとの判断を示した。
マクファデン判事は政府側の主張を支持し、AP通信が他の記者団を通じてホワイトハウスの情報を入手し、報道を続けていることを指摘した。
さらに、AP通信が訴訟を起こすまでに1週間以上待っていたことから、今回の申し立てが特に緊急性を要するものではないと判断した。
判事は差し止め命令の申し立てを却下したものの、AP通信の主張には法的根拠がある可能性があると指摘し、3月20日に公聴会を開いて審理を行うことを決定した。
トランプ政権が望む表現を使用しなかったことを理由に、政府がAP通信を記者団から排除したことは明らかであり、これは法的に問題となる可能性があると指摘した。
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