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ベトナム株暴落 トランプ関税46%直撃で高成長モデルの危機

2025/04/03
更新: 2025/04/03

3日、トランプ米大統領が発表した新たな関税政策がベトナム経済に大きな衝撃を与えた。同政策では、ベトナムからの輸入品に対し46%という極めて高い関税を課すことが明らかになり、これを受けてベトナムの株式市場は歴史的な急落を記録した。

ホーチミン証券取引所の主要株価指数であるVN指数は同日、前日比6.24%(82.28ポイント)下落し、1235.55ポイントまで落ち込んだ。これは約2か月半ぶりの安値であり、取引時間中にはさらに大きな下げ幅を記録する場面もあった。

市場全体では505銘柄が値下がりし、そのうち175銘柄はストップ安に達した。特に鉄鋼業界のホアセン・グループや、不動産・小売業を展開するビングループなどの大手企業が約7%の下落を見せたほか、金融大手ベトコムバンクも同様に7%安となった。

ホーチミン証券取引所(Shutterstock)

今回の関税措置は、アメリカが世界各国に対して一律10%の関税を課す中で、特定の国々に対してさらに高い税率を適用するものだ。

ベトナムはその中でも最も高い46%の関税を課されることになり、輸出依存度の高い同国経済に深刻な打撃を与えると見られている。2024年にはアメリカへの輸出額が1420億ドルに達し、国内総生産(GDP)の約30%を占めていたため、この措置による影響は甚大だ。

ベトナム政府は事態を重く受け止め、ファム・ミン・チン首相が緊急閣議を招集した。同会議では、貿易省や中央銀行など主要機関の代表者が参加し、新たな関税が経済全体に及ぼす影響について議論した。

政府は成長目標である8%を維持する方針を示しているものの、専門家からは「輸出主導型成長戦略そのものが脅かされる可能性がある」との懸念も出ている。

市場では外国人投資家による売り圧力も強まり、取引初日の純売却額は1兆9千億ドン(約73億6千万円)と3か月ぶりの高水準となった。特に銀行株や小売株など大型銘柄への売りが目立った。一方で、一部の専門家は「急激な下落局面では中長期的な買い場となる可能性もある」と指摘しており、市場の回復への期待感もわずかに残されている。

今回の事態は、ベトナム経済だけでなく東南アジア全体にも波及する可能性がある。他国でも同様に高い関税率が適用されており、地域全体でアメリカとの交渉や対応策が進められる見通しだ。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。