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WHO「パンデミック条約」交渉 米国の離脱表明で不透明化

2025/02/18
更新: 2025/02/18

世界保健機関(WHO)が進める「パンデミック条約」の交渉において、アメリカが離脱を表明したことが明らかになった。この動きにより、WHOが主導する国際的な感染症対策の強化に向けた取り組みの行方が不透明になっている。

WHOのテドロス事務局長は2025年2月17日、スイス・ジュネーブで開かれた政府間会合の冒頭で、2月14日にアメリカから交渉枠組みからの離脱通告を受けたと発表した。テドロス氏は「決定を遺憾に思う」と述べ、加盟国に交渉の妥結を急ぐよう訴えた。

パンデミック条約は、新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえ、感染症対策を強化するための新たな国際的な枠組みとして、約3年前からWHO加盟国間で協議が続けられてきた。

アメリカの離脱表明により、2025年5月のWHO年次総会での条約採択を目指す国際社会の結束が試されることになる。共同議長を務める南アフリカの代表は「パンデミックには国境がないからこそ、手を取り合わなくてはいけない」と述べ、アメリカに協力を呼びかけている。

トランプ大統領は2025年1月20日、アメリカのWHOからの脱退を再確認する大統領令に署名した。この決定の背景には、WHOの運営や対応に対する具体的な不満がある。

署名された大統領令には次のように書かれている。

『アメリカ合衆国は、2020年に世界保健機関(WHO)からの脱退を通告した。その理由は、中国の武漢で発生したCOVID-19パンデミックやその他の世界的な健康危機に対するWHOの不適切な対応、緊急に必要とされる改革の採用失敗、そしてWHO加盟国からの不適切な政治的影響に対する独立性を示せなかったことである。さらに、WHOは引き続きアメリカに対して、他国の分担金と比べて不当に過大な支払いを要求している。中国は14億の人口を有し、アメリカの人口の3倍であるにもかかわらず、WHOへの拠出金はアメリカよりも90%近く少ない』

アメリカの脱退を受けて、WHOや他の加盟国がどのように対応するか、また条約の内容や採択スケジュールに変更が生じるかどうかは、今後の展開を注視する必要がある。

国際社会は、アメリカの離脱表明を受けて、パンデミック条約の実現可能性や、WHOの機能維持に向けた対応を検討することになる。感染症対策における国際協調の行方は、引き続き不透明な状況が続くと見られる。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。