トランプ米大統領は2025年2月14日、ホワイトハウスで記者団に対し、アメリカに輸入される自動車に対して4月2日頃から新たな関税を課すことを検討していると表明した。この発言は、米国の貿易赤字削減を目指す「相互関税」導入の一環として行われたものである。
トランプ大統領は具体的な対象国や関税率については明らかにしていないが、商務省など関係省庁に対して4月1日までに国ごとの貿易赤字や不公正な貿易慣行を調査するよう命じており、その報告に基づいて新たな関税を検討するとみられる。
この動きは、日本の自動車産業に大きな影響を与える可能性がある。日本自動車工業会の発表によると、2024年の日本からの自動車輸出台数は前年比4.6%減の421万7044台であった。このうち、アメリカ向けの輸出は136万9063台(前年比7.9%減)となっており、アメリカは日本の自動車輸出にとって重要な市場となっている。
野村総合研究所の木内 登英氏(エグゼクティブ・エコノミスト)の分析によれば、仮に日本からの自動車輸出に25%の追加関税が課された場合、日本の実質GDPは2年間で約0.2%程度低下する可能性があるという。これは日本の潜在成長率が0%台半ば程度と考えられる中で、相応の悪影響と言える。
一方で、中国の自動車輸出も急速に拡大しており、2024年の輸出台数は前年比19.3%増の585万9千台に達し、2年連続で日本を上回って世界最大の自動車輸出国となった。このような状況下で、アメリカの新たな関税措置が実施されれば、グローバルな自動車産業の競争環境に大きな変化をもたらす可能性がある。
トランプ大統領の発言を受けて、日本政府や自動車業界は今後の動向を注視し、対応を検討する必要がある。また、この問題は日米間の貿易交渉にも影響を与える可能性があり、両国の経済関係にも影響を及ぼす可能性がある。
今後、4月1日までの調査結果や、4月2日頃に予定されている具体的な関税措置の発表に注目が集まることになるだろう。
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