米東部マサチューセッツ州の連邦地方裁判所は12日、トランプ政権が進める連邦政府職員の早期退職プログラムについて、差し止めをしないとの判断を下した。この判断は、トランプ政権の連邦政府縮小策に追い風となる可能性がある。
判事は、提訴した職員の労働組合に当事者としての資格がないと説明し、差し止め請求を却下した。この決定により、トランプ政権が1月末から進めてきた早期退職プログラムは継続されることになる。
トランプ政権は政権発足直後から、政府の効率化を掲げて様々な施策を打ち出してきた。具体的には、テレワークの禁止やDEI(多様性、公平性、包括性)を推進する部署の閉鎖を表明。さらに、「分岐点(Fork in the Road:フォーク・イン・ザ・ロード ※食器のフォークの形状が分かれ道に似ていることから分岐点の意味に使われる)」と題したメールで職員に対し、職場に残るか退職するかの選択を迫った。
早期退職プログラムは、6日までに退職を決めた職員に対して9月30日までの給与を保証するという内容だった。ホワイトハウスの発表によると、少なくとも4万人以上の職員がこのプログラムに応じたという。一部の報道では、応募者数が6万人に上っているとの情報もある。トランプ政権はこの早期プログラムに当初20万人が応募することを期待していると述べていた。
この早期退職プログラムに対し、80万人が加盟する米国公務員連盟(AFGE)が訴えを起こしていた。AFGEは、このプログラムが法律に違反しており、適切な資金提供ができないと主張していた。
当初、連邦地裁判事は6日だった早期退職の募集締め切りを「裁判所のさらなる命令があるまで」延長するよう命じていた。しかし、12日の判断でこの措置は覆されることとなった。
一方で、この早期退職プログラムに対しては懸念の声も上がっている。一部の元情報当局者からは、情報機関が経験豊富な職員を失い、情報収集・分析機能が弱まることへの不安が示されている。
今回の判断を受け、トランプ政権の連邦政府縮小策は新たな段階に入ることが予想される。政権は「1人を新規採用するには、4人が離職しなければならない」という指針を打ち出しており、今後も継続的な人員削減が進められる可能性が高い。
この連邦地裁の判断が、アメリカの行政サービスや国家安全保障にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
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