米国土安全保障省(DHS)は最新の声明で、中国製のネットワーク接続型監視カメラが、中国共産党(中共)のスパイ活動や米国の重要インフラに対する破壊行為に利用される可能性があると警告した。
DHSによると、これらのカメラにはデータ暗号化や十分なセキュリティ設定が欠如しており、初期設定のままで製造元との通信が可能になっているケースが多い。米国内の化学産業やエネルギー産業など、重要インフラのネットワークには数万台の中国製カメラが設置されているとされる。
「不正アクセス」のリスク
DHSは「これらの監視カメラがハッカーに利用されることで、他の機器への侵入や機密データの窃取が可能になる」とし、さらに「警報システムの抑制や誤作動を引き起こす可能性がある」と警告している。
また、これらのカメラの多くは「ホワイトラベル方式」を通じて米国内に流入しているという。ホワイトラベル方式とは、製品を他社ブランドとして販売する仕組みのことで、この手法を利用することで、輸入規制をすり抜けているとされる。
米国内で増加する設置台数
2024年初頭時点で、米国の数百の重要インフラ施設に1.2万台以上の中国製監視カメラが設置されていると推定されている。アメリカ連邦通信委員会(FCC)は2022年にこれらのカメラの輸入を禁止したが、ホワイトラベル方式の影響で設置台数は増加しているという。
さらに、2020年以降、中国政府支援のハッカーがこれらのカメラの脆弱性を積極的に狙っていることが報告されている。
国家情報長官室(ODNI)の調査によれば、2024年3月、ある米国の石油・ガス会社で使用されていた中国製カメラが、中国のサーバーと通信を行っていた。このサーバーの1つが「中国政府支援のハッカーと関連している可能性」があると指摘されている。
専門家の懸念
オハイオ州シダービル大学のサイバーセキュリティ専門家デビッド・リード氏は「これらの製品がどこで作られ、どのように設置されているのか、そしてそれが信頼できるのかを確認する必要がある」と述べ、DHSが現在、海外製品による脅威を調査していると説明した。また、これらのカメラが「水処理施設や交通システムにも使用されている」と警告した。
一方、ジョージア州オーガスタ大学のサイバーセキュリティ専門家マイケル・ノワトコフスキー氏は「これらのデバイスにはバックドアが仕込まれている可能性があり、所有者が知らないうちに外部と通信する危険性がある」と指摘した。また、こうした問題は監視カメラだけでなく、他の電子機器にも当てはまると述べ、安価な製品を購入する際には注意が必要だと強調した。
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