TBSによると、23日夜、東京・港区にある会員制クラブ「東京アメリカンクラブ」の上空にドローンが飛行しているのが確認され、近隣のビルに無断で侵入していたとして、中国籍の18歳の男性を含む3人が逮捕された。警視庁によれば、逮捕された3人は、東京アメリカンクラブ近くのビルに無断で立ち入り、ドローンを飛行させていたという。警察は現在、動機や目的について詳しく調査を進めている。
東京23区ではドローン飛行が原則禁止
東京23区では航空法により、河川敷を含む全域でドローンの飛行が禁止されている。例外的に飛行が認められる場合でも特別な許可が必要である。今回のドローン飛行は無許可で行われたとみられており、さらに建造物侵入罪にも該当する可能性が高い。
中国におけるスパイ容疑と邦人拘束の背景
中国では2014年に「反スパイ法」が施行されて以降、国家機密や安全保障に関連する容疑で外国人を拘束するケースが増加している。中国における日本人の逮捕や長期勾留は、ここ数年でいくつかの事例が報じられている。
2015年には60代の日本人女性が上海で拘束され、尖閣諸島の主権問題に関する情報を日本政府官僚に伝えたとしてスパイ罪で6年の実刑判決を受けた。2019年には湖南省で介護関連の仕事に従事していた50代の日本人男性が拘束され、2023年に懲役12年の判決を言い渡された。最近では2024年にアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ罪で起訴されている。
外交の原則「相互主義」からみると日本で禁止されている中国人が犯した無許可のドローン飛行に対して、然るべき法的措置が求められるところだ。産経新聞によると、中国共産党政府は日本側に対し、「相互主義」を理由に訪日する中国人にも同様にビザを免除することを求めている。
注目される対応
石破茂首相は「さまざまなレベルでの日中間の交流を進めていきたい」との考えを示し、早期の訪中に意欲を表明している。
昨年12月には、日本政府は10年有効の数次ビザを新設するなど、中国人に対するビザ要件を緩和した。また今年1月、7年ぶりに日中与党交流が再開されたほか、中国人民解放軍東部戦区代表団が6年ぶりに日本を訪問し、部隊間交流が再開された。こうした動向は市民だけではなく党内からも批判や疑問の声が上がっている。
東京アメリカンクラブは会員制の国際的な社交クラブで、在日外国人や日本人が多く利用している。周辺にはロシア、イラン、アフガニスタンなどの大使館が集まり、北側には国会議事堂や霞が関といった日本の中枢機関が位置する。このため、今回のようなドローン飛行は安全保障上特に敏感な問題といえるだろう。SNSでは「計画的な行動ではないか」「ただの遊びでは済まされない」などの意見が広がり、事件の動機に注目が集まっている。
今回の事件は、トランプ氏の就任直後というタイミングで発生している。3人の中国籍容疑者がなぜドローンを飛行させ、近隣のビルに侵入したのか、その動機や目的に関心が集まっている。
中国籍の人物が関与しているため、日中関係が影響する可能性も否定できない。中国共産党政府が関心を示せば、政治的な問題に発展する可能性があり、これが処罰の厳しさに影響を与えることも考えられ政府の最終的な対応が注目されている。
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