豪州政府は令和6年2月、次期汎用フリゲートの選定において「もがみ」型護衛艦を含む候補艦艇から選定する方針を発表した。具体的には「もがみ」型護衛艦の能力向上型(令和6年度型護衛艦、4800トン型)が候補の1つとして選定された。
豪州政府は今後、提案国との協議を経て調達する艦艇を決定する見込みである。オーストラリアでは、フリゲート艦の老朽化に伴い、新たに最大11隻を導入する計画で、先月末ごろ、共同開発の相手として日本とドイツを最終候補に絞り込んだと発表した。
日本が選定されれば、海上自衛隊の最新鋭の護衛艦「もがみ」型をベースに開発を進め、当初は日本で建造し、4隻目以降はオーストラリアで建造するとしている。
日本政府は、オーストラリアの次期汎用フリゲート艦の共同開発・生産プロジェクトについて検討を行った。その結果、完成した艦艇やその部品、関連する技術情報をオーストラリアに提供することが、「防衛装備移転三原則」とその運用指針に沿っていると判断した。
背景
オーストラリアは、国防政策の一環として海軍の戦闘能力を向上させる必要がある。特に、中国の軍事的な挑発や地域の不安定化に対応するため、より優れた水上艦隊を編成することが求められている。
日本とオーストラリアは、共通の安全保障上の課題に直面しており、両国間の防衛協力を強化する動きがあるとみられる。日豪両政府は「共同の抑止力」を構築するため、統合司令部への相互派遣や共同訓練を拡大している。
9月には木原稔防衛大臣がクッタバル豪海軍基地(オーストラリア・シドニー)を訪問し、基地内の視察などをした他、リチャード・マールズ豪州副首相兼国防大臣と防衛省会談を行った。
日本が提案している「令和6年度型護衛艦」は、海上自衛隊で運用されている「もがみ」型護衛艦を基にしており、自衛隊との相互運用性が高まることが期待されている。
防衛装備品の輸出を進める日本にとって、今回のオーストラリア向けフリゲート艦の共同開発は自国の防衛産業が国際的な市場で競争力を高める機会となる。
中国による軍事活動の活発化や東シナ海・南シナ海での現状変更の試みに対抗するため、地域の安全保障環境を維持する必要性は高まっており、日豪両国は連携を強化している。
日本の防衛装備移転政策に基づき、地域の安全保障協力を強化
日本は2014年に「防衛装備移転三原則」を定めており、これに基づき防衛装備品の輸出を行っている。この原則では、武器輸出は特定の条件を満たす場合に限られ、特に「平和的な用途」や「人道的な目的」などに使用されることが求められている。
日本政府は、オーストラリアへの護衛艦技術情報の移転を既に行っており、これは「防衛装備移転三原則」に基づいて認められている。技術情報の共有や共同開発は法的に問題がなく、この協力が地域の抑止力を強化するものと位置づけており、豪州との共同開発は、中国の軍事的な影響力を考慮した戦略的な意味合いを持つ。
日本はこれまでも他国への防衛装備品輸出をしている。
マラッカ海峡での海賊問題に対処するための支援の一環として行われ、2008年、日本はインドネシアに対して巡視艇3隻を無償供与した。
また最近では、令和2年8月に、フィリピン国防省と三菱電機が同社製警戒管制レーダー4基を約1億ドルで納入する契約を結んだ。このレーダーは、自衛隊向けに開発された技術を基にしており、日本から海外への完成装備品移転としては初の案件となった。
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