経済不況下でも、昔から長くから存在してきた特権社会に対する庶民の不公平感や不安などで、中国における官民対立はかつてないほど激化している。
無関係な市民が巻き込まれる社会報復事件が起きるたび、コメント欄には「あなたに苦難をもたらしたのは政府だ。無関係な人を巻き込むな、政府に立ち向かえ」といった声が殺到する。
また、具体的な動機はわからなくても、警察を襲撃する市民は、ネット上の「人民の英雄だ」と称賛される事態にもなっている。
というのは、中国において公安(警察)は、国民から搾取する「中共(中国共産党)の道具」に例えられるなど、とにかく評判が悪い。
もちろん、個人として善良な公安職員も一部にはいるだろう。しかし総じていえば、中国の公安は、他の自由主義国では当然である「正義の職務」ではなく、むしろ「悪の邏卒(巡査の前身)」とすら思えるような人間があまりにも多いのだ。
今年4月も、千人を越える村民が現地の「派出所(警察拠点)」を襲撃する事件が起きた。
きっかけは、中国湖南省長沙市の村「高橋村」で、土地徴収された村民が、弁償金を求める際にビルから転落死し、現地政府は大勢の公安を出動させてその遺体を奪ったためだ。これに怒った千人を越える村民は現地の警察拠点を襲撃し、所内をメチャクチャに破壊した。負傷した公安などを捉えた動画も当時ネットに流れたが、関連情報は今は封殺に遭っている。
11月、この村の村民たちは、中共当局による暴力的な弾圧に対抗するため一致団結して「権利擁護事務所」まで立ち上げたことがわかった。
その様子を捉えた動画のなかには、店が立ち並ぶ通りに「高橋村、村民集団維権弁公室」と書かれた看板が掲げられた建物があった。事務所の設立を祝うべく、村民たちは爆竹を鳴らして大いに喜んでいるようだ。動画には陽気な歌がつけられ、SNS通じて猛拡散され、「村民たちの勇気ある行動に対する称賛と支持の声が殺到している。
(長沙市の街中に設立された「村民権利擁護事務所」)
エポックタイムズの取材に応じた現地村民によれば、村民と政府との「因縁」は今から20年前の土地徴収から始まったという。土地徴収には、当局に不正と汚職が存在しており、村民がもらうはずだった代わりの家もお金もないという。村民が自分たちの権利を主張しても、当局は相手にせず、そして鎮圧を行ってきたという。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。