中国共産党による統治下の中国に正義はなく、民衆の不満や怨念が渦巻いている。
それでも庶民は失われた「本当の正義」を求めて、千年以上も前の宋代に実在した清廉潔白な名裁判官(包拯・ほうじょう)に泣きつく。
包拯を祀った廟である包公祠(ほうこうし)や包拯の墓に跪いて拝み、ひたすら「自身が受けた冤罪や不公正な扱いによる被害」を泣きながら訴える。 この「ブーム」は今年3月に巻き起こり、いまでは一種の「社会現象」として定着している。
「包拯泣きつき」ブームの最中だった今年3月に、一度は「老朽化」と「メンテナンス」を口実に包拯ゆかりの廟や墓を閉鎖した政府だったので、閉鎖後は「泣きつく人」が少なくなった。しかし、現在再開されていて、包拯ゆかりの景勝地はまた「泣きつき客」が絶えないようだ。
今月27日にも、包拯ゆかりの景勝地「開封府(河南省)」、高齢男性が「包公さま!」と叫び続けた。すると、駆け付けてきた複数の警備員によって、隅のゴミ箱近くに引きずり込まれた。それでも男性はひざまずき、何度も叩頭をしていた。
男性がどんな「不公」を経験したかを知る由はないが、警備員によって阻止されながらも、千年以上も前(宋代)の「清官」に叩頭しようとするその姿は、あまりに惨めであった。
(『包公』に泣きつく老人)
万里の長城で泣く「孟姜女」
26日も、「長城に泣く孟姜女の伝説」の孟姜女に扮した格好をした女性が、北京で万里の長城城壁で号泣する写真がSNSに投稿されて話題になった。
ネット情報によれば、この女性は司法の不正に苦しみ、訴える場もない。そのため、孟姜女に扮して万里の長城でその受けた不公を泣いた。
関連トピックスには、「包拯ゆかりの景勝地はあまり行くとまた封鎖されかねないが、それに代わって長城で泣くのはグッドアイデアだ」とする声も多く、「中国共産党当局は長城を封鎖できまい、今後万里の長城で泣く人増えそうだ」と推測する声もあるという。
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