経済不況の中国では、各業界において生き残りをかけた熾烈な競争が繰り広げられ、とくに社会底辺で働く人たちの状況は実に悲惨である。
最近、浙江省の省都、杭州市のフードデリバリー配達員の中年男性が急死した。「過労死ではないか」とされる。
この男性は「配達王」とも呼ばれ、配達業の中でも「最も多くの注文をこなす」ことで有名だったという。
6日にネットに流出した動画のなかには、路上に停められた電動バイクの上で動かなくなった「配達王」とされる男性の姿があった。その周りには公安が規制テープを張っていた。
中国メディアによると、亡くなった男性は、本当に良く働くフードデリバリー配達員だった。1日16時間~18時間働き、睡眠時間は3、4時間しかとらない彼は、毎日、2つのフードデリバリープラットフォームから100近い注文をこなし、1日の給料は500元(約1万円)以上だという。そのため、あたり一帯では「配達王」と呼ばれていた。
彼を知る人によると、「彼は家族を養うために働き、一家の稼ぎ手だった」という。
「配達王」は亡くなった日の午後、彼はいつものように道端に停めた配達バイクの上に横になって、仕事を待っていた。他の配達員たちは、彼が疲れて眠ってしまったものと思っていた。しかし、深夜になってもずっと同じ姿勢を保っていたため、異変に気づいた配達員仲間が彼に近寄って触ると、その体は完全に冷たくなっていたという。
通報により駆け付けた救急隊員は、男性の死亡を確認した。
「配達王死亡」のニュースは中国SNSで拡散され、関連投稿には、1万を超えるコメントが寄せられていた。その多くが「社会の底辺で生きる庶民の辛さ」を嘆くものだった。なかには「家族や知り合いもフードデリバリーの配達員をしていたけど、若くして過労死した」と明かす投稿もあった。
(路上に停めたバイクの上で亡くなった「配達王」と呼ばれた男性、2024年9月6日、浙江省杭州市)
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