社会問題 自殺に追い込まれる古参社員も

中国、国有企業による陰険で驚くべき汚い「解雇手口」

2024/09/05
更新: 2024/09/05

景気後退が止まらないなか、生き残りのため、中国の多くの企業が人員削減を余儀なくされている。苦しいのは民間企業だけでなく、「鉄の飯碗(食いはぐれる心配のない働き口)」と呼ばれる国有(国資)企業であっても同じだ。

正社員を解雇することが難しい国有企業による、さまざまな陰険な「辞退手口」が、このほど、ネットで話題になった。いずれも退職金を節約するために、直接解雇するのではなく、「自ら辞めるよう仕向けたり」、「会社役人が賭博などに連れて行き、公安に逮捕させる」といった汚い手口が存在することが、ネットユーザーらの暴露によって明らかになったのだ。

そういった陰険な辞退方法に遭った古参社員のなかには、自殺に追い込まれる人も少なくないという。

深セン地鉄を保有する深セン市国有資産監督管理委員会(国資委)傘下の「深業集団」の内部向け通知が、SNSに流出し、物議を醸している。

同通知はまず、ページの大半を使って中国経済の衰退が続いていること、そして会社の経営状況が良くない」ことについて説明したうえで、本題に入る。「8月8日以降、関連部門の職員は仕事を止めて、次の仕事を待て。仕事停止期間、一方的に仕事を再開しても、給与は支払わない」と一方的に告げた。

 

「深業集団」の内部向け通知。(SNSより)

 

平たく言えば、この通知の意味はつまり、「強制的な出勤停止、給料もなければ退職金もなし」だ。「職員が耐えられなくなったら自ら辞めるよう仕向けている」と、ネット上で批判が殺到している。

関連トピックスには「トラックを製造する中央企業(政府が直接管理する国有企業)」の陰険な手口について暴露する関係者もいた。

それによると、「その中央企業では、40代、50代の高齢の労働者を解雇する場合は、その人たちを車両の組み立てラインのなかにおいても最も重労働のポジションに就かせるのだ」という。

「そうすれば、数カ月後も働けば、おとなしく(退職書類など)サインする。組み立てラインは本当に疲れるよ。1日14時間くらい働く。ただでさえ高齢で、体のあちこちにガタがきているんだ。仕事をするのはまるで拷問を受けているかのように辛い」

なかには、一家の大黒柱である人も多い。「ローンを多く抱えているため、仕事を辞めるわけにはいかないし、かといって最前線の重労働にも耐えられない。そうやって自殺に追い込まれる人も少なくない。作業着を着たまま道路に飛び出して車に轢かれる人もいれば、作業場で首吊りしたり、飛び降りたりする人もいて、本当に悲惨だ」

「今の中央企業は悪魔の巣窟、彼らはあなたの弱点を知り尽くしているし、そしてどこまで耐えられるかあの手この手で探っているし、我々はまるでモルモット、いつ死ぬかわからない運命だ」とその関係者は怒りを露わにする。

ほかにも、「犯罪をするよう仕向けて公安に逮捕させ、それを理由に解雇(退職金なし)」する「衝撃的なクビ方法」も国有企業や中央企業で頻繁に使用されているという。

そのやり方とは、まず会社役人がクビにしようとする古参社員らをまとめて賭博や買春に連れて行ったり、飲酒運転させる。いっぽうで、裏で公安に通報して捕まえさせる。最終的に違法行為を理由にクビにし、もちろん退職金も払わないという。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!