社会問題 中共支配の国において、問題が解決されるかどうかは、「世論の注目を集めることができるかどうかにかかっている」

中国の患者を騙す病院 眼中にあるのは「利益のみ」?

2024/09/03
更新: 2024/09/04

 

最近、中国メディア「読特新聞」は「過去に無償献血を8回したのに、必要になった時過去の献血は無効と告げられる」「事件」を取り上げ、世論の怒りを引き起こした。

世論の圧力を受け、当初は互いに責任をなすり合っていた病院と献血ステーションはその態度を一変させたという。

過去に献血した市民は最終的に望み通りの輸血を受けられたが、「病院は市民の無償献血を利用して金儲けしている」といった昔から存在してきた社会問題が熱く議論されるなど、この「事件」が引き起こした波紋はまだまだそう簡単には収まらないようだ。

 

患者を騙す病院

「無償献血を8回したのに必要になった時に優先輸血を拒否された」事件の「被害者」である李さん(河北省廊坊市)は、2011~20年の間に計8回無償の献血をしており、最後の献血(400ml)は2020年10月15日だった。

しかし、「病院(河北覇州市第二医院)入院中に緊急な輸血が必要となった時、『最近、あなたは献血をしていないため、献血証が期限切れになった。無効だ』と告げられ、本来ならば優先的に受けられるはずの輸血を受けられなかった」という。

病院の主張を不服とする李さんは病院側と度重なる交渉を経て、最終的になんとか「命を救うため」の血液2袋を手に入れた。

医師からは「手術などさらなる治療をしようとしてもこれ以上の血は渡せない。血が欲しいなら、家族や友人に献血させることだ。もし献血者の血液型があなたのと同じ型であれば、献血した分だけあなたに渡せる。もし血液型が異なる場合は、献血した分の半分しか渡せない」と告げられた。

李さんは当初、病院から「あなたが献血した血液ステーションが、うちに血を渡さないから、こっちはどうすることも出来ない」と主張していた。

いっぽう、中国メディアの取材に対し、血液ステーションのほうは「献血証が期限切れになることはない。うちに血液の在庫があれば病院に渡すよ。そもそも、李さんの輸血申請なぞ病院から来ていない」と答えている。

この件が世論の注目を集めると、血液ステーションと病院の職員は21日、李さんに連絡をし、「輸血可能」の旨を伝えた。

李さんの件はこれにて「一件落着」だ。このようなめでたい結果になったのは「世論の注目を得られた」おかげにほかならない。

中国はいまでは、不公平を手に、SNSで実名による告発をする時代だ。中国において、問題が解決されるかどうかは、「世論の注目を集めることができるかどうかにかかっている」といっても過言ではないのだ。

 

「河北覇州市第二医院」(中国の検索エンジン「百度」のオンライン百科事典「百度百科」より)

 

「金儲け」

李さんの件は終わったが、事件が広げた波紋はそう簡単に鎮まりそうもない。ネット上では、「病院は市民の無償献血を利用して金儲けしている」といった昔から存在してきた社会問題が深堀りされ、熱い議論が巻き起こっている。

中国では、一般市民から無償で提供された血液は臨床目的にのみ使用でき、売買することは禁じられている。「献血証」持参者は血液が必要になったときには、献血した分は無償で提供してもらえる。また、献血証が期限切れになることはない。

つまり、過去に無償献血を8回(毎回400ミリリットル)行った李さんは、3200ミリリットルの血液を優先的に、それも無料で使用することができるのだ。

しかし、病院側は李さんの献血証が「期限切れ」と嘘をつき、李さんの友人や親族に献血を要求した。病院側の行為は明らかに関連規定に違反している。

関連ニュースをめぐっては、「自分や知り合いにも李さんと同じような状況に遭遇したことがある」といったコメントが多く寄せられており、病院側の行動はもはや一種の「暗黙のルール」にすらなっていて、この中には利権関係が存在すると指摘する声も多い。

中国では、庶民は「いざ、自分が必要になる時のため」、自分や家族が優先的に輸血を受けられるよう普段から無償献血をする。しかし、病院で血液を使用する際(献血証がない人)には、お金がかかる。

なかには、「無償献血をしたのにいざという時には認めてもらえなかった」、あるいは、「高価な血液を買えない患者家族が、献血を申し出ても、血液を買うのとほぼ変わらない費用を要求される」ケースもある。

ある血液業界の関係者によれば、「病院での輸血費用は一般的に1袋500元~1千元(約1~2万円)の間、具体的な価格は現地の経済水準によって異なる」という。

イメージ画像。フランス血液公社(EFS)に献血する献血者、2022年6月30日撮影 (Photo by DENIS CHARLET/AFP via Getty Images)

 

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!