今年の「中秋の名月(十五夜)」は9月17日、火曜日である。
中国で、この日は「中秋節」と呼ばれている。家族団らんで夜空の月を見ながら、満月をかたどった焼き菓子の月餅(げっぺい)を食べるのが華人圏の慣わしとなっている。
季節の縁起物であり、楽しい年中行事の主役である「月餅」。しかし、毎年のことだが、「中秋節」が近づくと、華人圏では「市場に大量流通している偽物や、体に悪い危険な中国産月餅」に対する注意の呼びかけが必ず起こる。
何しろ、「偽物大国」と名高い中国である。身に着けるものならまだしも、食べ物の偽物は特に問題だ。
「中秋財」という言葉があるほど、月餅の季節になると、あの手この手を使って儲けようとするな悪徳業者が絶えない。
「ニセ物の餡」
中国の月餅は、各地で大きさ・材料・中に詰める餡(あん)などに特色がある。なかでも昔から、茹でた鹹蛋(かんたん:アヒルの卵を塩水に漬けたもの)の黄身を餡に入れた月餅が人気を呼んできた。
この人気の黄身の餡が「偽物」である月餅も多い。
「多くの中国産月餅の黄身の餡が人工的に作られた偽物で、非衛生的な工場で作られる場合もあるし、とにかく化学物質が大量に含まれている」として要注意だと多くの関係者が警鐘を鳴らしている。
(偽鹹蛋の黄身を作る生産ライン)
偽物の「月餅」の見分け方
月餅のなかでも、ゆでた鹹蛋(塩水に漬けたアヒルの卵)の黄身を餡に入れたものが昔から人気だった。その餡の黄身が、ホンモノかどうかを見分ける方法について、専門家は次のように教えている。
本物の黄身の色は「やや黄色がかっており、その構造も不均一、食感も比較的硬い。外側は柔らかく、内側が締まっている。中央部分には硬い芯がある」という。
いっぽう、偽物(人工的に作られた黄身)の色は赤みがかっており、構造は均一。ホンモノよりも弾性に豊み、中心部は硬くない。
中国の食品安全基準は、欧米諸国の基準よりはるかにハードルが低い。中国製の月餅についても、欧米では禁止されている添加物を含めて、中国政府は百種類以上の化学添加物を許可している。
月餅は以前にようには「売れなくなった」
「月餅は中国経済のバロメーターとなっている」と多くの流通関係者は口にする。
去年はとにかく売れなかった。今年はどうだろうか。
中国の月餅が売れなくなった背景には、中国経済の全般的な苦境のほかに、一部の製造業者が消費者の健康を顧みずに利益追求した結果、ニセ物や過剰な添加物入りの「危険な月餅」を売るという、いわば自業自得の原因もある。
医療費を、ムダに払わせようとしているのか?
江蘇省無錫市に住む評論家の張建平氏は、次のように指摘する。
「この国(中国)では、むしろ国民にどんどん有毒食品を食べさせ、病院へ行かせて金を使わせることを願っているのではないか。利益のためなら、彼ら(中共)は手段など選ばない。有毒食品は、一つの表象にすぎない。問題の根源は、中国共産党(中共)による権力者への特別供給制度と医療の産業化にある」
張氏が指摘した「中国共産党による権力者への特別供給制度」および「医療の産業化」とは何か。
例えば、中共の高官であった人は、引退してからも「特権階級」として高度な医療を無料で受けられる。いっぽう、一般の市民は、高額な医療費を全額自己負担しなければならず、さらに費用を増すために、無駄な薬などを過剰に投与されやすい。
張氏の言葉は、中国の医療が本来の使命を忘れて「金儲け」に走っている一面を指摘したものと考えられる。
さらに言えば、中秋節の「月餅」に象徴されるように、中国製食品の全般について、その安全性が根底から崩れていることは、もはや看過できないレベルに達した「社会道徳の崩壊」の指標であろう。
「食品に毒が入っている」「医療が信用できない」。そうであるならば、もはや国家として(その体制をふくめて)全てを一掃しなければならない段階に至っている、と言ってよい。
家族団らんで、安心して「月餅」が楽しめる正常な国に、戻さなければならないだろう。
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