社会問題 遺族が「医療事故」の鑑定を申請するも、病院側は書類提出を拒否

中国でまた「腎臓疾患」と誤診され入院治療中に妊婦死亡

2024/08/09
更新: 2024/08/09

今年2月中国で、「腎臓疾患」と誤診された妊婦が入院治療中に死亡する「医療事故」が起きた。

「事故の後、遺族は医療事故鑑定を申請したが、病院が書類提出を拒否しているため鑑定できない」と中国メディアが報道し、世論の圧力のもと、ようやく「医療事故」と認定された。

誤診

今年2月、冬休み中に帰省した女子大生の麗麗さん(23歳)は、最近少し太り気味の彼女は家事をすると息切れをおこし「お腹も少し痛い」という。

そこで両親の勧めで、地元の病院で見てもらうことにした。すると、「ネフローゼ症候群」と診断され、治療を行うために入院することになった。しかし、病院で一連の治療を受けているうち、入院から5日後に麗麗さんは死亡した。

入院治療中に「呼吸困難や意識不明」に陥った麗麗さんは、当初の入院先の「鄧州市人民医院(河南省南陽市)」から「南陽市第一人民医院」へ移送された後、妊娠の事実が発覚。当時妊娠31週以上で子宮内で胎児が死亡していたため、直ちに帝王切開手術が行われた。 手術後、2月20日に亡くなるまで昏睡状態が続いた。

麗麗さんの死亡原因は「妊娠中の合併症である心疾患」 と診断している。

「妊娠中の娘は腎臓疾患と誤診された、病院による腎臓疾患向けの一連の(誤った)処置が、娘の命を奪ったんだ。娘は妊娠していることを隠していたが、しかし、病院は各種検査をしているのだから、それすらわからなかったのか?」と父親は怒り、死因究明のため「医療事故鑑定」を申請した。

だが、「鑑定中止」の通知が手元に届いたという。中止の理由は、「誤診」をした病院が鑑定に必要な資料を提出しないためだという。

父親がいうには、「同病院の一部の医師は『自分たちにも責任がある』と認めている」という。しかし、事件から数か月経ったいまも問題は解決されず、「娘の遺体はいまも安置室に横たわっている」という。

父親は中国メディアに対し「治療中に用いられた薬のほとんどが妊婦不可のものだった。誤った治療が娘の命を奪ったんだ」と涙ながらに訴え、このニュースが報道されると、中国のネットで注目を集めた。

世論の圧力のもと、現地当局は6月1日、「この事故は、患者が妊娠の事実を如実に報告しなかったことに加え、医療機関の誤診などが引き起こした医療事故である」と認定し、誤診をした病院は遺族との間で賠償金の支払いについて合意した発表している。

華人圏のSNSには中国における「医療事故」に関する投稿は数多く拡散されているが、このなかで問題解決されるケースは極めて少ない。問題が解決されるかどうかは、「世論の注目を集めることができるかどうかにかかっている」といっても過言ではないのだ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!