社会問題 先祖から受け継いだ葬儀(土葬)の伝統を守るため

【動画あり】中国貴州省で再び「官民大戦」 大勢の村民逮捕される

2024/08/07
更新: 2024/08/07

4日、中国貴州省安順市にある村「岩上村」(「平壩区楽平鎮」)で「土葬」の伝統を守ろうとして、村民たちが当局者に立ち向かう事件が起きた。

当局が派遣した「遺体強奪チーム」に対抗して、村民たちは爆竹や花火で戦い、一度は撃退に成功。しかし、その後さらに大規模な鎮圧が行われ、大勢の村民が負傷し、逮捕されている。

 

当局が派遣した「遺体強奪チーム」(SNSより)

 

背景

反乱」とも呼べる今回の事件は、財政収入を増やすために「村民に墓地を買わせる政策」を打ち出した地元政府による村民の遺体強奪がきっかけだ。

当局は「遺体は火葬し、その遺骨や遺灰は指定する共同墓地に埋葬せよ」と命じているが、先祖から受け継いだ葬儀(土葬)の伝統を守るため、そして高い共同墓地を買うお金もないといった理由で、村民は政府の要求を拒んできた。

今年1月にも、貴州省の黔西南プイ族ミャオ族自治州安竜県にある少数民族のミャオ族(苗族)が住む村でも、村民の遺体を奪いに来た現地政府に対する「反乱」が起きている。(関連記事はこちら

事件が起きた「岩上村」(中国貴州省安順市平壩区楽平鎮)(SNSより)

 

「反乱」

ミャオ族、白族、漢族が住む「岩上村」は、古くから土葬の伝統をもつ。最近も、亡くなった村人の遺体は伝統に従って土葬が行われた。そこへ、現地政府は「遺体強奪チーム」を派遣して村へ乗り込み、その村民の遺体を奪い、火葬場に送ろうとした。この事態に、怒った村民たちは集結して反抗に出た。

3日以来、村民たちは村の入り口にテントを張り、当局の遺体強奪人員の村への侵入を防ぐために棺桶を4基並べて入り口を塞いだ。

すると翌日(4日)、村に乗り込もうと完全武装した公安や公務員からなる100人以上の「強奪チーム」が、村の入り口の「検問所(バリケードが置かれた)」で足止めされ、そこで村民との間で激しい衝突が起きた。

反撃する村民(SNSより)

その当時の様子を撮影した動画のなかには、警棒で村民を殴打する警官の姿、棒やレンガ、石、花火や爆竹などを使って反撃する村民たち、爆音と煙に包まれ、まるで戦場と見間違えるほどの混乱した現場の様子があった。「殴られて(村)人が死んだ」と村民が叫ぶ声も映像に収められている。

 

反撃する村民(SNSより)

 

4日の「戦い」では村人側が一時の勝利を収め、「遺体泥棒」の撃退に成功している。

しかし、その翌日(5日未明)、現地当局はさらに大勢の警察官を動員して村に乗り込み、村民を弾圧した。大量の催涙弾が発射され、多数の負傷者を出しながら、大勢の村民を逮捕した。

当局は村入りする前、村民たちが効果的な反撃を組織できないように、事前に村の電気とネット信号を遮断していたことも判明。

 

 (当時の様子)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!