TikTok売却を迫られるバイトダンス 米司法省がバイデン命令を支持へ

2024/07/30
更新: 2024/07/30

米司法省は7月26日、TikTokに関する訴訟に初めて対応し、連邦控訴裁判所に提出した文書で、バイデン大統領が4月に署名した「TikTokを売却しなければ禁止」というバイトダンスに対する命令を支持するよう求めた。これはアメリカの国家安全を確保するための措置だ。

司法省は、中国のバイトダンス社が運営するTikTokが、アメリカの国家安全にとって重大な脅威であると述べ、その理由として、同アプリが膨大なアメリカ人ユーザーの個人情報を収集している点を挙げた。また、中国共産党(中共)がTikTokを利用して、アメリカ人の受ける情報を「秘密裏に」操作する可能性があると指摘している。

バイデン大統領は今年の4月、バイトダンスに対してTikTokが売却されなければ禁止するという内容の法案に署名した。この法案によると、バイトダンスは2025年1月19日までにアメリカでのTikTokの資産を売却しない場合、TikTokを禁止することになっている。

TikTokは5月に、米政府に対して連邦裁判所に訴えを起こし、「この命令はアメリカ憲法に反しており、言論の自由を侵害し、米国民が合法的に情報を得る権利を妨げている」と主張した。

しかし、司法省はTikTokの提出した反論を一蹴し、TikTokが憲法修正第1条を不当に利用していると批判した。司法省は、TikTokに対する「売却しなければ禁止」という命令は、国家安全保障を目的としており、言論の自由を制限する意図はないと述べている。

TikTokは繰り返し、アメリカのユーザーデータを中共政府に渡しているという疑いを否定している。ただし中国で事業を展開する企業は、中共の厳しい方針に従い、「国家安全法」に基づいて政府にデータを提供する義務がある。

米司法省が26日に裁判所に提出した文書によれば、TikTokが親会社のバイトダンスによって運営され続けることは、中共がアメリカの選挙に影響を与える可能性があるとしている。

トランプ前大統領は、TikTokユーザーであり、6月にTikTokの禁止に反対する意向を明らかにした。一方で民主党からの大統領候補として指名される可能性が高いカマラ・ハリス氏は、今週TikTokを利用し始めたことを公表した。

9月16日に上訴裁判所は、TikTokに関する訴訟の、両当事者の口頭弁論を行う予定だ。