中国共産党(中共)の三中全会が迫る中、多くの人々が、中国経済の将来と中共の経済政策実行能力に注目している。この二つの要素は密接に関連している。
中国経済の将来については、「中国経済は頂点に達したのか?」と「中国経済は日本のように30年間停滞するのか?」という二つの議論がある。
2021年、中共が「東昇西降」に酔いしれていた時、アメリカの二人の教授が『外交政策』や『外交事務』などの主要な刊行物に共同で寄稿し、内部の経済成長鈍化と外部からの圧力により、中国経済は既に頂点に達していると主張した。
その後も、日本経済研究センターやオーストラリアのシンクタンク・ローウィ研究所、『エコノミスト』誌、ピーターソン国際経済研究所などが同様の報告や記事を発表し、中国経済の総量がアメリカを超えることはないと指摘している。
中国経済のピーク論
中国経済が頂点に達したかどうかは、重要な戦略的判断であり、その結論は各国の対中政策に影響を与える。中共は「中国経済のピーク論」の影響を十分に理解しており、これを強く否定している。2023年5月には一つのシンクタンクが「中国の台頭のピーク論」を反駁する報告を発表し、さらに今年3月には習近平が、アメリカのビジネス界と戦略学術界の代表と北京で会見し、「中国の発展は『ピーク論』によって制約されない」と強調した。
「中国経済のピーク論」を支持する者は、しばしば日本の例を引き合いに出す。1980年代、日本経済はアメリカを超える勢いを見せていたが、1990年代初頭にバブルが崩壊し、その後30年間は経済成長が停滞した。現在、中国経済と1990年代初頭の日本経済には多くの類似点がある。例えば、不動産バブルの崩壊、人口減少、需要の低迷、若者の就職難などである。
「失われた30年」か「転換の30年」か
日本の「失われた30年」に関しては、二つの対立する見解が存在する。肯定論者は、日本の実質GDP年平均成長率が1955年~73年の9%、1974~90年の4%であったのに対し、その後の30年間は1%未満であり、名目GDPもほとんど成長しなかったと主張する。2023年、日本の名目GDPはドル換算で世界第4位に後退した。
一方、否定論者は、過去30年間の前半は日本社会全体の調整期、後半は復興期であり、日本は浮ついた競争社会から成熟した先進国へと転換したと主張する。
例えば、日本企業は海外投資を増やし、2018年には日本の海外資産とその収入が国内GDPの1.78倍に達した。また、日本企業は産業構造の調整を進め、上流(コア技術とコア材料)と中流(コア部品とコア設備)を抑え、下流(家電、携帯電話、コンピュータなど)は他国に任せる戦略を取った。
中国経済の今後
中国経済が日本の「失われた30年」の後を追うかどうかについても、二つの見解がある。一つは、GDPデータから見ると、もし日本が「失われた30年」なら、中国経済はそれ以上に悲惨な状況になるだろうというもの。
もう一つは、日本の「転換の30年」と比較して、中国経済は転換・アップグレードに乏しく、日本とは比較にならないというものだ。
中国は、巨大な債権国でありながら、海外投資の収益が低く、技術導入が困難になっている。また、中共の権威主義体制下では、企業家精神や匠の精神が欠如しており、研究開発の偽装が横行している。これにより、中国製造業は西側の技術に依存し、核心部品や基礎材料の供給が不安定な状況にある。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏は、「中国が、日本の轍を踏むことはないが、状況はさらに悪化する可能性がある」と述べている。中共の高度集権的な体制が効果的な資源配分を可能にするとの見方もあるが、現状の不動産市場や株式市場の低迷を見ると、疑わしい。
今後数日で開催される「二十届三中全会(第20期中央委員会第3回全体会議・3中全会)」がどのような結果をもたらすか、注目が集まっている。
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