就職難で高学歴の帰国子女が田舎の公務員になったことがSNSで話題に=中国

2024/06/21
更新: 2024/06/21

中国の経済が大きく揺れる中、企業の倒産や失業率の上昇が深刻化し、高学歴ながらも低い職に就く若者が増えている。先日、スタンフォード大学で博士号を取得した蘇さんが安徽省の町村で公務員になることが決まり、社会的な議論を呼んだ。

安徽省宿州市の公務員局が最近、2024年度の公務員採用候補者の公示を行った。

公示された名簿には、米スタンフォード大学で博士号を取得した蘇さんの名前があり、彼が申し込んだのは宿州市霊璧県の役所での基礎的な事務管理の職だった。

同局は6月に2回に分けて、合わせて434人の候補者の名前を公表した。名簿に記載された唯一の博士である蘇さんは、中国科学技術大学の物理学部を卒業後、スタンフォード大学で応用物理学を専攻し、X線結晶学について研究を行っていた。

この話題は百度(バイドゥ)のトレンド検索に急上昇し、大きな議論を呼んでいる。

ネットユーザーからは「もったいない」「こんなに競争が激しいの?」「就職が本当に大変だ」などのコメントが寄せられている。

近年、中国経済の減速と失業率の上昇により、就職市場の競争が厳しくなっている。例えば、日本の東京大学の大学院卒業生が安徽省で公務員になるケースや、香港中文大学の大学院卒業生が広州市で遺体の火葬作業員になるケースもある。また、8千人の大学生が寧夏回族自治区の炭鉱での募集人数600人の職を争った事例などもある。

豪州の李元華博士は「高学歴でありながら低い職に就く現象は、中国の就職環境が厳しい現状を物語っている。多くの人にとって、仕事を得ること自体が難しいため、どんな仕事でも受け入れる傾向がある。その結果、中国や海外の有名大学を卒業した人たちが、本来の能力にそぐわない低い職に就くことが増えている」と述べた。

中国の就職難について、中国在住の騰さんは次のように語った。
「親が何年も前に子供を海外に数十万元(数百万円以上)かけて送り出した後、帰国したら、その中の何人かは公職任務を持ち、国営企業に就職して、専門とは全く関係ない仕事をしている。これは今、よく見られる現象だ。このような状況の中で、みんながより安定した職場を求めて競争している」

中国本土での就職が難しく、生活も厳しいため、人々が海外へ流出する傾向がある。最近ネットで拡散された動画では、中国人がロシアで傭兵として働く姿が映されており、彼は戦場に留まることを選び、故郷には戻りたくないと語った。彼は帰国すると食べるものに困ることを心配している。

ロシア傭兵(ようへいは、金銭などの利益により雇われ、直接に利害関係の無い戦争に参加する兵)になった中国人男性は「彼ら(傭兵たち)は私を『ブラックマンバ』と呼ばれる最も危険な部隊に送り込むつもりだ。私が帰ったら、あなたは私に食事を提供できるだろうか? もう誰も、私を説得しようとしないでほしい。帰国しても食べるものがないのだ、分かるか」と嘆く。

こうした状況に李元華氏は「彼は戦争の過程で自分が生命の危険にさらされる可能性があるとは思っていなかったかもしれない。しかし、これは中国社会において、実力だけで良い生活を送ることが非常に困難であることを反映している。特に社会の最下層にいる人々にとってはなおさらだ」と語った。