アメリカ政治 二極化した視点と憎しみによる分断を超える可能性

ケネディ・ジュニア氏、自由党大統領候補指名競争で敗退

2024/05/31
更新: 2024/05/31

【ワシントン】5月27日、ロバート・ケネディ・ジュニア氏は、自由党(リバタリアン党)の大統領候補指名競争の初回投票で敗退し、政党の支持を得るという期待が砕け散った。

自由党には複数の候補者が立候補しており、その中にはケネディ・ジュニア氏や政治活動家のチェス・オリバー氏が含まれていた。自由党は7回の投票を経てオリバー氏を大統領候補に選出したと発表した。ケネディ・ジュニア氏は初回投票でわずか2%の得票、約19人の代表者の支持しか得られず、敗退した。

結果が発表された後、ケネディ・ジュニア氏は自由党への感謝を表明し、X(旧Twitter)に次のように投稿した。「今朝目覚めて、自由党内で私を指名する動きがあると知り、驚きと同時に光栄に思います。もし指名されたなら、独立候補と第三党が団結して腐敗した二大政党制から国を取り戻すために喜んで受け入れます」

ケネディ・ジュニア氏は5月24日の自由党全国大会で演説し、これが独立大統領候補としての「ハイライト」であると述べた。彼は、自分の意見が自由党の立場と対立することもあると認めながらも、「平和、言論の自由、市民の自由という核心価値観」で自由党と自然な同盟関係にあると主張した。

彼は「我々は単一政党の束縛を打破する」と述べ、表面上は対立しているものの実際には一体となって働く民主党と共和党を指していると批判した。

大統領に当選した場合、ケネディ・ジュニア氏は、有名な内部告発者であるジュリアン・アサンジ氏やエドワード・スノーデン氏を赦免し、無駄と乱用が蔓延する官僚機構を解体し、『権利章典』(1971年、アメリカ合衆国憲法の修正として加えられた人権条項)の権威を回復することを公約していた。

大会での演説で、ケネディ・ジュニア氏はトランプ前大統領とバイデン大統領がCOVID-19パンデミックに直面した際にアメリカ憲法を尊重しなかったと非難した。

「アメリカ合衆国憲法にはパンデミックに関する免責条項があったことを覚えていない」と述べ、トランプ大統領が最初はロックダウンを実施しなかったが最終的には屈し、「多くの基本的な権利が一夜にして失われた」と主張した。

彼はまた、トランプ大統領が公衆衛生当局にソーシャルディスタンスの規範を実施させ、『アメリカ合衆国憲法修正第1条』が保障する集会の自由を侵害したと批判した。これらのロックダウンは、正当な手続きもなく、通知もなく、公開の聴聞会もなく実施されたと述べた。

バイデン大統領が就任後、「憲法への攻撃が一層激化した」と述べ、複数の検閲事例を挙げた。

トランプ大統領は5月25日の自由党大会で演説したが、自由党の指名を求める書類は提出していない。5月27日の「Truth Social」への投稿で、前大統領は指名を求める書類を提出しなかった理由は、共和党候補として他の党の指名を受けることができないためだと述べた。彼は、もし自由党の指名を求めたら「確実に得られる」と主張した。

トランプ前大統領はまた、ケネディ・ジュニア氏を「急進的な左翼民主党員で、彼が関わるすべてを破壊し、特にニューヨークとニューイングランドではエネルギーコストと実用性に関して、ひどい悪影響を与えた」と批判した。

改革党の指名と討論

ケネディ・ジュニア氏は先週、改革党(アメリカ合衆国の少数政党)の指名を受けた。改革党はアメリカの「二大政党制の終結」を掲げており、これはケネディ・ジュニア氏の重要な選挙ポイントの一つと一致している。

改革党の党大会の秘書リチャード・カサ氏は、「ケネディ氏はバイデン氏よりも活力があり、トランプ氏よりも成熟している。改革党は問題に関して彼の立場が既成の政治家よりも一致していると信じている。我々は彼が次のアメリカ大統領になると信じている」と述べた。

同党は、ケネディ・ジュニア氏が、彼らの指名を求めたのは全米50州での投票資格を得るためだと述べている。彼らは世論調査が、ケネディ・ジュニア氏がトランプ氏とバイデン氏の一騎打ちで「勝利する」ことを示していると主張している。

しかし、RealClear Pollingの複数の世論調査の平均結果によると、トランプ前大統領が43.7%の支持率でリードしており、ケネディ・ジュニア氏はわずか12%、バイデン大統領は平均38.7%の支持率となっている。

バイデン大統領とトランプ前大統領は選挙前に二度の討論を行うことに同意している。ケネディ・ジュニア氏は自分を含めない決定を批判している。彼は5月15日のX投稿で「彼らは私が勝つことを恐れて討論から排除しようとしている。競争力のある候補者を討論から排除することは民主主義を弱体化させる」と述べた。

「ケネディ・ジュニア氏は、討論に第三の候補者を加えることで、通常の『我々対彼ら』の視点ではなく異なる視点を提供することができると考えている」と述べ、「第三の候補者が参加することで、二極化した視点と憎しみによる分断を超える可能性を開く」としている。

英語大紀元記者。担当は経済と国際。