子供を亡くした悲しみの中、ある米国人の母親が「TikTok」とその親会社「ByteDance(バイトダンス)」を告発し、ソーシャルメディアの危険性を訴えている。
「彼らが私の手を握った瞬間、悪い知らせがあると感じた」
息子を失った母親のノーマ・ナザリオさんはこう語る。
1年前、15歳だったノーマさんの息子ザッカリー君は「サブウェイサーフィン」という危険な挑戦で命を落とした。
ニューヨーク市地下鉄管理局のデータによると、2018年から2023年にかけて「サブウェイサーフィン」で少なくとも10人が亡くなっている。
ノーマさんは「ザッカリーは夏期講習で出会った人から『なあ、TikTokで流行ってるこのチャレンジを試してみないか? 僕がやってるのをTikTokで見てくれ』と誘われたんです。それが全ての始まりだった」と言う。
「サブウェイサーフィン」とは、地下鉄の最後尾に乗り、トンネルを走る行為で、中には更に危険を冒して車両の屋根に上る者もいる。
しかし、ソーシャルメディアで流行る危険なチャレンジはこれだけではない。2023年にはマサチューセッツ州の少年が「ワンチップチャレンジ」で亡くなり、2021年にはミルウォーキーの少女が「ブラックアウトチャレンジ」で命を落とした。
「ワンチップチャレンジ」は大人向けの激辛チップを食べ、また「ブラックアウトチャレンジ」は故意にベルトなどで首を絞め、窒息させるというもので、米国の10代の間では、苦しんだり、失神したりする様子を撮影し、TikTokなどでシェアすることが流行った。
全ての「チャレンジ」が直接命を奪うわけではないが、「飲酒チャレンジ」のように、危険な行動を促すものもある。
オンライン雑誌「The Zillennial Zine」の編集長、サブリナ・グリマルディ氏は「ソーシャルメディアが情報を迅速に広めるため、若者が影響を受けやすい」と述べている。
米国心理学会によると、ソーシャルメディアは特に青少年に悪影響を及ぼす可能性がある。これは、青春期の若者が同世代の影響を受けやすいためだ。
息子を失った悲しみの中で、ノーマさんはTikTokとその親会社である中国のバイトダンス、Facebookの親会社Meta、そして大都市交通局を訴えた。彼女はまた、ソーシャルメディアの法規制の見直しを進め、他の若者が息子と同じ運命をたどらないように活動を開始している。
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