バイデン大統領は米国陸軍士官学校の卒業式で、新たな陸軍士官らに民主主義と自由を守る誓いを果たすよう呼びかける基調講演を行った。
大統領は、222年の歴史を持つ陸軍士官学校を卒業し、米陸軍に入隊する約千人の士官候補生に向けて演説を行った。
バイデン氏は、卒業式の演説でトランプ前大統領を直接非難することはしなかったが、選挙運動の演説でよく行うように、民主主義の課題について警鐘を鳴らした。卒業生たちに対し、ウエストポイントで学んだ価値を忘れずに、そして最も重要な宣誓をしっかりと守るよう強調した。
バイデン氏は「ウエストポイントで最初の日に、あなたたちは右手を挙げて、政党や大統領ではなく、アメリカ憲法に忠誠を誓った。外国の敵だけでなく、国内の敵に対してもだ」と述べた。
「自由はただではない。それを守るためには絶えず警戒が必要だ。全ての世代には、アメリカの民主主義を守る義務がある」と付け加えた。
バイデン氏が大統領として陸軍士官学校の卒業式で演説するのは初めて。バイデン大統領は以前、副大統領時代の2012年と2016年にウエストポイントで卒業式のスピーチを行っている。
昨年、ハリス副大統領が式典で基調演説を行い、陸軍士官学校の歴史上、卒業式の演説を行う初の女性となった。
バイデン大統領は、卒業生たちを讃えた上で、中東戦争から、ロシア・ウクライナ戦争、インド太平洋地域における中国(共産党)の脅威まで、幅広い世界的な課題について警鐘を鳴らした。
「歴史を学ぶ者として私は断言できるが、皆さんが卒業する世界は、これまでのどの時代とも異なっている。私は29歳の時から上院議員を務め、一度も政府を離れたことはない。皆さん、世界は急速に変化しているだけでなく、変化のスピードも加速している。世界中のさまざまな場所で、軍隊にこれほど多くのことを同時に行うよう求めた時代は、歴史上なかった」
バイデン大統領は、ウクライナ紛争に米軍を介入させない決意を示しつつ、紛争に苦しむウクライナへの支援を続ける意向を表明した。
「私はその姿勢を維持する決意だ。しかし、我々はウクライナに対して強い姿勢で臨み、これからも彼らと共にある」と述べた。
バイデン氏は、陸海軍が中東において地中海に臨時施設を迅速に設置し、パレスチナ人への救命援助を拡大したことを称賛した。
また、インド太平洋地域については、オーストラリアやイギリスとの戦略的関係、日韓との3か国協力など、同地域での同盟関係強化に向けた政権の努力を称えた。
バイデン氏は「決して忘れてはならないが、我々の力だけでなく、我々の模範の力によって主導権を握ったとき、アメリカは最も強くなる」と強調した。
この演説は、バイデン大統領がウクライナ、イスラエル、台湾を含むアメリカのパートナー国への約950億ドルの安全保障支援を法制化した約1か月後に行われた。
バイデン氏は署名式後の演説で「これはアメリカ、そして世界をより安全にするものだ。アメリカが世界でリーダーシップを保ち続けることをも意味する。この協定はパートナー諸国に、自国の主権や国民の生命と自由に対する脅威から自国を守るための重要な支援を与える」と強調した。
大統領はまた、軍内での性的暴行の減少についても触れた。
「約10年ぶりに、現役の軍人を対象とした性的暴行や性的ハラスメントの発生率が下がった」と述べた。
5月6日、バイデン大統領は陸軍ブラックナイツ・フットボールチームをホワイトハウスに迎え、最高司令官トロフィーを授与した。昨年のフットボール・シーズン中、陸軍は米海軍士官学校と米空軍士官学校の両方を破った。
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