5月8日に行われた米国とフィリピンの合同軍事演習「バリカタン」で、両国の軍隊はオーストラリア空軍の支援を受け、かつて中比友好の象徴とされた中国製のフィリピン海軍退役補給艦「レイク・カリラヤ」を模擬敵艦として撃沈した。
これは中国共産党に対する強烈なメッセージであり、フィリピン駐米大使が明確に述べたように、「米国とフィリピンが中国の軍艦を撃沈し得る」ことを示しすものだ。
「インクワイアラー(Inquirer)」紙によれば、撃沈された模擬敵艦は、フィリピン海軍の退役補給艦「レイク・カリラヤ」(BRP Lake Caliraya)だった。
この模擬攻撃は、フィリピンのラオアグ沿岸から約15キロ離れた場所で行われ、台湾の最南端から400キロ以上離れていた。
AP通信社の報道では、フィリピンのマルコス大統領の故郷である北イロコス州ラオアグ市で行われた火力展示に世界中から軍事関係者や外交官が集まり、山の頂上からその様子を見守った。現場では、模擬敵艦から黒煙が上がるのが確認された。
米軍と比軍が模擬敵艦を撃沈
演習の主要な指揮者であるオマール・アル・アサフ氏によれば、約1500人のフィリピン兵と500人の米兵がこの演習に参加。目的は、空軍、海軍、陸軍砲兵の協力により、海上からの攻撃でフィリピンへの侵攻を未然に防ぐことだと述べた。
フィリピン海軍の高速攻撃艇が先頭に立ち、スパイクNLOSミサイルで模擬敵艦「レイク・カリラヤ」の上部構造を破壊する。
次に、フィリピン空軍のAW109ヘリコプターが艦に攻撃を加え、海軍の巡防艦がC-Starミサイルで艦尾を直撃する。
最後に、フィリピン空軍のFA-50戦闘機と米国のF-16戦闘機がAGM-65空対地ミサイルとGBU-54レーザー誘導爆弾で攻撃し、米軍のAC-130ガンシップが105mm砲で支援射撃を行い、フィリピン陸軍の155mm榴弾砲で撃沈を完了させた。
この演習は、毎年恒例の米菲合同軍事演習「バリカタン」の一環で、4月22日から始まり5月10日まで実施。中国製の模擬敵艦が使われたことについて、中国共産党は批判をしている。
中国共産党機関紙「環球時報」によると、「レイク・カリラヤ」号は元々「ラプ=ラプ」号として知られ、中国の造船所で建造され、中比間の協力の象徴とされていた。これが模擬敵艦として使われ、中国共産党は「挑発的な行為」と非難した。
フィリピンが発した中国共産党へのメッセージ
フィリピン駐米大使ホセ・ロムアルデス氏は、AP通信との電話インタビューで「私たちは銃口の前に立たされている」と述べ、中国共産党の圧力に対抗するための資源が不足していると述べた。
「私たちはどの道を選ぶべきか? 正しい側、すなわち米国と、その姿勢を信頼するパートナー国の側に立つべきだ」と強調した。
「同盟の重要性は計り知れない。中国には多くの軍艦があるが、我々は強力な火力で彼らの艦隊を撃沈できる力を持っている」とロムアルデス氏は続ける。
南シナ海での中国共産党の挑発的行為は、フィリピンにとって深刻な懸念事項となっている。
これに対し、マルコス大統領は軍に長年の国内反乱対策から外部防衛に重点を移すよう指示。この戦略的シフトは、米国がインド太平洋地域で同盟を強化し、中国共産党の影響に対抗する姿勢と一致している。
中国共産党は、南シナ海の紛争地域で強力な放水銃や軍用レーザーを使用してフィリピンの船舶を妨害し、補給活動を妨害している。フィリピンの船員が負傷し、船も損傷を受けたことから、マルコス政権の怒りを招いている。
今年の「バリカタン」演習では、南シナ海と台湾海峡での紛争に対応する訓練も行い、特にフィリピン北部と西部、南シナ海周辺での演習を重点的に実施。
米国とフィリピンの特殊部隊は、台湾から約200キロ離れたバタン諸島で島の占領を想定した訓練を行っている。
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