中国人医学研究者の米国への入国拒否が増加

2024/04/30
更新: 2024/04/30

米中の科学技術に関する競争が激化する中、中国からの研究者たちが米国への入国時に厳しい検査と審査に遭遇する事例が増加している。

医学分野で活躍するこれらの研究者は、ノートパソコンやスマートフォンのチェックを受けるだけでなく、時には数時間の拘留を余儀なくされることもある。多くの研究者は科学研究や学術目的で正当なビザを持っているにもかかわらず、国家安全保障を理由に入国が拒否されるケースが頻発している。

このような状況は中国人留学生全体には少ないものの、現在の科学技術競争の緊迫した状況を映し出している。

入国審査、医学を含む多様な分野へと広がる

2020年5月、トランプ政権は、中国軍と関連があると見なされる中国人留学生や研究者のアメリカへの入国を制限する公告番号10043を発表した。

この措置は、特に大学院生やポスドク研究者(博士号を取得したあとに、大学や研究所で正規のポストに就かず、研究職を続ける期限付きの研究者)に大きな影響を与えている。「ザ・ガーディアン」紙が今年4月20日に報じた内容によると、イェール大学医学部の病理学教授である秦岩氏は、過去数か月にわたり、有効なビザを持つ10人以上の中国人学生がアメリカへの入国を拒否されたと証言している。

また、このような入国審査は、人工知能を含む広範な科学研究分野に及んでいる。ハーバード医学院での職務を控えていたある中国人科学者は、ボストンのローガン国際空港で入国を拒否された。

彼は人工知能を活用したワクチン効果の研究を進めていたが、これはアメリカが科学技術分野における安全性への懸念を広く持っていることを物語っている。

中国共産党の軍民融合戦略

アメリカは、中国共産党が推進する軍民融合戦略を受け、中国からの学生や研究者のビザ審査を厳格化している。この戦略は、民間セクターの研究者と軍事・防衛部門との間の境界を取り払い、技術的に高度な軍隊の育成を目指している。

アメリカ国務省の報道官マット・ミラー氏によると、ビザ拒否を受ける中国の学生は全体の10%未満であり、この割合はここ数年変わっていない。アメリカは、中国の学生が知的財産を不正な方法で収集する手段として使われる可能性を懸念している。

さらに、米中間の科学技術協力に関する合意の更新も、軍民融合戦略のために停滞している。この合意は1979年の署名以来、通常は5年ごとに更新されるべきものだが、昨年8月以降は6か月ごとの延長のみが行われている。これは、アメリカが中国との科学技術の協力を通じて生じうる軍事的リスクに対する懸念を反映している。

留学生が中国共産党のスパイ活動に関与したケース

アメリカの司法省が発表した報告によれば、スパイ行為に関与していると疑われる複数の中国人学生が逮捕されたとのことだ。たとえば、紀超群という人物は、アメリカの最先端の航空宇宙技術と衛星技術を不正に取得したとして、8年間の刑に服することになった。

また、ボストン大学で物理学、化学、生物医学工学を学んでいる葉燕青という学生は、外国政府の代理人としての活動が疑われて起訴されており、彼女はまた中国共産党の軍隊で中尉の地位にあることも明らかになっている。

中国の学生、依然アメリカで最大の国際学生グループ

厳格な入国審査が行われているにも関わらず、中国からの学生たちは依然としてアメリカにおける最大の国際学生グループを構成している。

2023会計年度には、アメリカは中国の学生や研究者に対して合計28万9526件のビザを発行した。この数は、前年度の15万5千件から大幅に増加しており、中国の学生たちがアメリカの高等教育においてなくてはならない存在であることを物語っている。

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