防衛省は26日、海上自衛隊と陸上自衛隊で特定秘密の漏えい事案が発生したと発表し、関係者の懲戒処分を行った。木原防衛相は「極めて深刻に受け止めている」と述べた。
海自では、護衛艦「いなづま」の当時の艦長が、特定秘密を取り扱う資格のない隊員1人を特定秘密取扱職員に指名。令和5年1月10日に同艦が山口県周防大島沖で事故を起こすまでの約2か月間、戦闘指揮所(CIC)で船舶の航跡情報など特定秘密の情報を取り扱わせていた。
陸自では、北部方面隊(札幌市)隷下の部隊指揮官が令和5年7月、上富良野演習場での訓練中、特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員15人に対し、有事における自衛隊の活動に関する情報を漏えいした。
海自では1等海佐ら4人、陸自では2等陸佐1にそれぞれ停職6日などの処分を下した。防衛省は陸自の事案について、警務隊に告発状(特定秘密保護法違反容疑)を提出する方針だ。
各部隊の内部における漏えいで、部外者に対する漏えいは一切確認されていないという。
防衛省の調査報告によれば、海自では令和4年6月の人事異動の際、艦長が隊員の適性評価未実施を看過。さらに定期検査で適性評価の確認を怠るなど、特定秘密保護規定に反する不手際が重なった。さらに陸自の部隊指揮官は、隊員の意識高揚のため深く思慮せず発言。二次漏えい防止措置後に上級部隊への報告を怠ったという。
木原防衛大臣は、特定秘密をめぐり海自の現職幹部による漏えい事案後も防止策を講じてきたが、新たな事案発覚に「極めて深刻に受け止めている」と述べた。そのうえで、「国民の皆様からの信頼回復に全力を尽くすよう、防衛省全体として再発防止に全力を尽くしていく」と陳謝し、副大臣を長とする再発防止検討委員会で情報保全体制を見直す考えを示した。
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