<写真あり>米FBI、ニューヨーク市長の女性顧問を家宅捜索 中国秘密警察署とも関係か

2024/03/05
更新: 2024/03/05

FBIは現地時間2月29日、職権濫用などの疑いがあるとして、ニューヨーク市長エリック・アダムス氏の顧問で中国系女性のウィニー・グレコ氏(中国名・鄭祺蓉)の自宅を家宅捜索した。グレコ氏は2度にわたってアダムス市長の訪中を仲介するなど親中派として知られており、現地メディアはグレコ氏と中国当局との関係性に焦点を当てている。

地元住民によると、FBI捜査官は午前6時頃にニューヨークのブロンクス区にあるグレコ氏の自宅に突入した。捜索活動は数時間にわたって行われたという。

2023年9月11日、ニューヨーク市内のイベントで演説するウィニー・グレコ氏(林宜君/大紀元)

現在61歳のグレコ氏は、ニューヨーク市のアジア事務担当官だ。福建省出身で、1995年に渡米した。2014年にブルックリン区長だったアダムス氏と出会って以来、10年近く選挙サポーターを務め、政治資金集めを担った。華僑コミュニティとも深い親交があったことから、「米中の架け橋」「名誉副区長」などのあだ名を持っている。

地元メディア「ザ・シティ」は昨年11月、グレコ氏がブロンクスにある自宅の改築をめぐり、その地位を不正に利用していたと報じた。また、グレコ氏はアダムス市長が主催する中国系イベントへの入場と引き換えに、自身が設立した非営利団体に対して1万ドルの寄付を求めた疑いがあるという。

市の監督機関捜査局(DOI)は報道を受けて、昨年末から捜査を行ってきたが、法執行の権限は罰金や解雇などに限られている。そのため地元住民は、連邦捜査機関であるFBIが出動したことに大きな意味を見出している。

グレコ氏と中国共産党との関係性もかねてから注目されてきた。米誌「ナショナル・レビュー」は2023年9月、マンハッタンの中国秘密警察署に関わったとして逮捕された盧建旺(ロ・ケンオウ)容疑者とグレコ氏が2019年に福建省へ公務で旅行していたと報じた

2023年10月17日、法廷から帰宅する盧建旺氏(右)。左は米国長楽協会の陳金平秘書長(蔡溶/大紀元)

さらに、グレコ氏は米国の議員や政府職員の中国訪問を複数回企画し、浙江省義烏市や北京市朝陽区との姉妹都市提携を取り持った。

「ニューヨーク・ポスト」の2023年9月8日付によると、グレコ氏は中国当局が支援する少なくとも2つの組織で顧問を務めており、自身が経営する企業は中国北京市共産党委員会の宣伝部から資金援助を受けていた。これに対し、アダムス市長の報道官は、グレコ氏は顧問ではないと否定した。

グレコ氏は十年前に「米国アジア経済貿易文化促進会(仮訳)」を設立しており、「米国と中国の友好交流の架け橋となる」「米中友好を促進する」との目標を掲げた。さらに、現在は削除されているが、グレコ氏は自身のサイトで「愛国的な華僑」を自認していた。

グレコ氏に対するFBIの家宅捜索は、すでに政治資金の問題で捜査を受けているアダムス市長にとって大きな打撃となりそうだ。

市長は、捜査に関する質問を避け、自身による不正行為の疑いではないことを強調している。市長室報道官は声明で「捜査中の事案についてはコメントを控えるが、進行中の捜査には全面的に協力する」と発表した。

グレコ氏については、家宅捜査と同時に発生した医療事故により病気休暇を取っており、その後は無給休暇になるという。

市長周辺への捜査はグレコ氏で3人目となる。FBIは昨年11月、トルコ政府から違法な献金を受けた疑いで、アダムス氏の主要な資金集め担当者であるブリアナ・サッグス氏の自宅と、市長の国際問題オフィスで働いていたラナ・アッバソヴァの自宅を家宅捜査した。捜査員は市長の携帯電話とiPadを押収した。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。