天の怒りか。神仏の罰か。貴州省の半分が焼き尽くされた。
信じ難いことだが、これが今、本当に中国で起きている。
中国南西部の貴州省で2月18日から発生した大規模な山火事は、連日のように燃え広がり、今もなお火勢は衰えていない。
(2月18日から貴州省で発生した大規模な山火事。動画投稿者は「恐ろしい火だ。こんな映像はCCTVには出ないだろう」とコメントしている)
山火事の範囲は「北海道に匹敵する面積」
気象当局の衛星データによると、日本の「北海道の面積」に匹敵する範囲で火が確認されたという。これが正しければ、実に「貴州省の半分」が焼けたことになる。
出火原因について、警察当局は「旧正月の墓参りの際に、焚かれた線香が原因だ」と主張している。
しかし現在、山火事は極めて広範囲で、非常に多くの場所に及んでおり、それら全てが「墓参りの線香」から発したかどうかは分からない。この山火事で、これまでに救助隊員2名が死亡したという。
山火事の場所は、きわめて多くの箇所に及ぶが、ある火事現場の近くには、マンションやビルも立ち並んでいる。地元の住民は、村を呑み込む火をどうすることも出来ず、ただ見ているしかない。
ネット上に流れる動画のなかには、山火事に襲われた後の養豚場を映したものがあった。黒焦げになって焼死した十数頭のブタを見て、飼い主である男性は大声で泣いている。
(山火事に襲われた後の、ある養豚場の様子。飼い主の男性が、大声で泣いている)
当局の制御で「ホットリサーチ入りできない」
猛火は、現地住民の家にまで及んでいる。この悲惨な山火事について、中国の一部のセルフメディアは追跡しているが、中国のネット上には、官製メディアによる「散発的な報道」しか見られない。
しかも、その官製メディアの報道内容は、どれも「燃えているのは数か所だけ」「火勢は制御されている」といった、まるで事実とはかけ離れた印象を視聴者に与えるものばかりだ。
さらに、中共の官製メディアは「火災現場で奮闘する消防隊への賞賛」を通じて、政府の功績を吹聴するのに大忙しである。
その一方で、中国のネット上は「教師と学生の恋愛スキャンダル」「ダイエットに成功した有名人」「エイズにかかった有名人」といった、どうでもよい、娯楽的なニュースで埋め尽くされている。
例えば「ある中国人の小学生が、家族とともに欧州旅行へ行った。しかし、その子は宿題をやるのがイヤで、宿題帳をわざと旅行先に置いてきた。すると親切にも、その宿題帳がさまざまな人を経由して、中国の本人のもとへ届けられた」という美談が、辟易するほどのしつこさで繰り返されているのだ。
しかし、貴州省の山火事に関連するトピックスは、中国SNSのホットリサーチリストにすら入っていない。当局が制御しているのは、山火事ではなく、ネット情報だろう。
これに対して、ネットユーザーは「(当局は)これ以上、貴州の山火事の話題を抑えないでほしい」と訴えている。
(2月18日から、中国の貴州省で発生した大規模な山火事)
(2月21日撮影、中国の貴州省で発生した大規模な山火事)
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