労使紛争急増 法律事務所の業務が活況

2024/01/28
更新: 2024/01/27

中国大陸の景気低迷で、給与未払い、失業、破産などに関連する経済紛争が激増している。結果として法律事務所の業務が活況を呈している。

法律事務所活況は景気低迷の兆し

南京の弁護士・李さんは、過去2年間、経済における対立や紛争が増えたため、法律事務所は短期間で活況を呈していると語った。

「この2年間で、中国では弁護士の数が激増した。私が所属する法律事務所も弁護士数が何倍にもなった」

江蘇省高等法院の業務報告によると、2019年、2020年、2021年に江蘇省全ての法院での一審で結審した事件はそれぞれ15万4千件、12万6千件、14万7千件だったが、2022年に一審で結審した事件は75万3千件に急増し、前年比5倍にも増加した。

中国紙「経済観察報」は2023年8月に、ここ数年、法律事務所ほど市場の新規需要にこれほど顕著な貢献をした部門はほとんどないと報じた。

北京のある弁護士は、パンデミックの3年間は法律事務所もそれほど影響を受けていなかったと語った。現在はM&A(企業・事業の合併や買収)やIPO(新規公開株)の業務は減少したものの、「倒産・清算業務の量は少なくとも例年の2倍以上になった」と言われている。

上海のある法律事務所の弁護士は、「2022年下半期から労働争議が増加し、今年に入ってから倒産案件が増えている」と述べた。

中国国内の抗議行動を監視するNGO、フリーダムハウス傘下の「チャイナ・ディセント・モニター(China Dissent Monitor)」によると、2023年に中国本土で発生した経済抗議行動は過去最高を更新した。

2022年12月~2023年2月にかけて、労働者による抗議行動は370件で、2022年9〜11月の3か月間に記録された件数と比べ2倍以上と急激に増加した。

8、9月には、経済的不満に関連する抗議行動が461件発生し、2022年の同時期に記録された件数の1.5倍となった。このうち4分の3近くが労働者による抗議行動だった。労働者の抗議行動が継続して増加していることがわかった。

また、景気が良くなれば、多くの業界が法務スタッフを増員する。その大半は法律問題予防、トレーニング、契約管理、制度設計などを行う。訴訟はそのごく一部に過ぎないと説明した。

中国資産運用会社の元チーフ・コンプライアンス・オフィサーだった梁少華氏は大紀元に対し、正常な経済環境では、弁護士は増加傾向にあるはずだと述べた。経済全体が芳しくなければ、財務、管理、法務スタッフなどあらゆる分野で人員削減が行われる。

同氏は、法曹界が以前より活況になっているのは、おそらく多くの法学部卒業生が他の仕事を見つけられないからだろうと考えている。 

例えば、以前だったら、検察庁や法務局に入ったり、大企業の企業法務を務めたりすることができた。しかし就職先が激減している中、残された最後の道として司法試験を受ける者もいる。

中国では、弁護士になるのは欧米ほどハードルは高くない。 中国では、高校卒業後に法律学科に入り、卒業したら司法試験を受けて弁護士になることができる。

3年間のゼロコロナ政策により、中国では中小企業の閉鎖が相次いだ。中国メディアは2020年に46万社が廃業し、7億8千万社が負債を抱えたと報じた。

2021年1~11月にかけて、約437万社の中小企業が永久に廃業した。2022年にはITテクノロジー企業で大規模なレイオフが行われた。

北京の弁護士・王さんは、大紀元の取材に対し、「3年間の閉鎖(パンデミック時のロックダウン)に関係しているのだろう。多くの正常な経済生活が中断され、その結果、多くの経済問題が発生し、資本循環が悪化し、経済紛争が発生している。弁護士の数の増加は、社会で法律サービスの需要が高まっていることを意味している。 周りでも、経済不況の影響を受けて仕事に影響が出ている人が増えている」

広東省の弁護士・呉さんは、「経済不況のせいで紛争が増えたのではない」と述べた。

「司法試験の受験者数が急上昇しているのは、他の業種では就職が難しいということだ。弁護士は出前やネット予約車のように個人でできるから、みんな弁護士業界に押し寄せているのだ。そして、弁護士も競争が激化している。報酬は以前よりずっと悪くなっている」

宋唐
易如