何でもかんでも金を取る 中国各地で「恣意的罰金」が横行 背景は地方財政の破綻か

2024/01/25
更新: 2024/01/25

中国では今、どの地方政府も回復不可能なほどの財政危機に陥っている。

そのようななか、各地で「え、こんなことで罰金とるの?」というような、実に不可解な罰金徴収が相次いでいる。市民に科された、どう見ても恣意的で「理不尽かつ奇妙な罰金」の数々は、ネットでもホットな話題になっている。

見ているほうは「そんなバカな」と笑って済ませられるが、運悪く罰金を科された本人にしてみたら、とんだ災難というしかない。以下は、そのごく一部である。

地方政府:「車が汚い」で4千円の罰金

このごろ、上海では「車体が汚い」として罰金が科されたという。耳を疑うような話だが、運転している車が汚いことを理由に200元(約4千円)を取られた自動者所有者がいたのである。

また、天津市では「発言禁止」がルールのSNSのチャットグループで「発言」した村民に対して、同じく200元の罰金が科された。

さらに、こちらも天津だが、裁判所の窓口で「テーブルを叩いた」だけで5千元(約10万円)の罰金が科された。言い渡された本人は、あまりの理不尽な措置に怒りを露わにしている。

今月16日、上海浦東新区にある「周浦鎮政府」は、道端に駐車してあった自動車が「汚いから」として、自動車所有者に対して200元の罰金を科したことがわかった。車の所有者が「罰金切符」の画像をネット投稿したため、ネットユーザーの間で物議を醸す事態になった。

「車が汚いから罰金徴収」という、あまりに不可解な罰金理由をめぐっては、ネット上では「政府はまるで強盗だ」「周浦鎮の政府は、どれだけお金に困っているのか」といった猛烈な批判が殺到している。

村長:「グループチャットで発言した」で罰金

いっぽうで、天津市で切られた「罰金切符」も同様、世論の批判を招いている。

今月17日、天津市に住む王さんは昨年12月19日に起きた、ある「事件」に関する動画をSNSに投稿した。その「事件」とは、参加者の発言が禁じられている村の連絡用グループチャットのなかで、1人のチャット参加者が、ある通知に関してわずか三言(みこと)尋ねただけで200元の罰金が科されたのだ。

罰金の理由は「グループの管理規則に違反したため」となっている。罰金切符を切ったのは「村民委員会」だった。この罰金を支払わなければ、政府からの補助金を2倍差し引かれるという。

王さんによると、グループチャット内の発言禁止の規定など「そもそも知らなかった」という村民も多いという。このわずか175人が参加するグループ内では、少なくとも20~30人が、その規則を知らなかったため発言してしまい罰金を科せられたという。

また、王さんの親戚の子供が携帯で遊んでいたとき、誤って「。」マークを2つ、例のグループチャットに送信してしまった。その時も同様に、200元の罰金が科された。

その際、村長は「200元の罰金を払わなければ(手当などから)400元を差し引く」と脅したため、親戚は不本意ながらも200元を払ったという。

天津市、「発言禁止」がルールのSNSのチャットグループで「発言」した村民に対し、200元の罰金が科されたケース。(SNSより)
 

裁判所:「テーブルを叩いた」で10万円の罰金

このほか、ネット上には「天津市北辰区裁判所」が発行する、ある「決定書」も出回って物議を醸している。

その内容とは、北京の弁護士である陳立飛氏が、同裁判所の立案窓口に来た際に「テーブルを叩いたため、罰金5千元(約10万円)に処する」という趣旨のものだった。

陳弁護士とその所属法律事務所は、「同裁判所が2か月も先延ばしするなどして、規定に従って立案をしなかった。つまり裁判所の違法行為が先にあったのだ。そこで怒った陳弁護士はテーブルを叩いてしまったが、罰金は不当だ」と糾弾する声明を出している。

画像(左)は「天津市北辰区裁判所」が発行する「決定書」。画像(右)は北京の陳立飛弁護士とその所属法律事務が出した声明。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。