校内で死亡した大学生を、学校側が即日火葬 家族の同意なし=中国 広東

2023/12/25
更新: 2023/12/25

今月、広東省にある大学で、男子学生が校内で突然倒れ、死亡する「事件」が起きた。死因は明らかでない。

ネット上には、死亡した学生の遺族(おそらく両親)とみられる男女が怒り、学校側に激しく問い詰める動画が拡散されている。その話の内容から「学校側は倒れた学生を、病院に運んで救命措置を施すのではなく、家族の同意なしに直接火葬場へ送った」というのだ。

親が顔も見ずに「息子は火葬場へ送られた」

「なぜ病院に送らなかったのか!」「(死んだと言うなら)なぜ遺体に会わせてくれなかったのか?」。遺族の激しい怒りを前に、学校側はただ淡々と「こちらは規則に従ってやっているだけだ」と冷たく返答するばかりだ。

「では、どこの火葬場に送ったのか」という遺族の当然の問いに、学校側の人間は「私は知らない」と言うばかりで、最後まで答えなかった。

この事件に関して、ネットに流れている情報では、学生が校内で倒れてから「家族が到着する前に、学校側が勝手に、その日のうちに学生の遺体を火葬した」と言われている。

そうした不可解な点が存在するため、当初から学校側は何かを隠していることが伺われた。これは第二の胡鑫宇(こきんう)ではないか、といった「臓器狩り」を疑う声まで広がっている。

 

 

「これは、第二の胡鑫宇か」

時事評論家の李沐陽氏は、この事件に関する投稿を二度にわたって自身のSNSに共有し、次のように評した。

「もう一回シェアしよう。これは第二の胡鑫宇ではないのか。学生が倒れてから、わずか1日以内に火葬され、両親は息子の顔さえ見られなかった。(その間に)臓器がいくつ抜かれていても、もう分からないではないか」

「胡鑫宇事件」とは、江西省鉛山県で昨年10月に学校から失踪した15歳の高校生・胡鑫宇さんが今年1月28日、学校近くの森の中で変死体となって発見された事件である。

地元警察は、本人の意思による「首吊り自殺」と断定し、強引に幕引きをはかる記者会見まで行った。

しかし、遺体発見時の状況証拠などに矛盾点が多いことから、真実を隠蔽しようとする地元警察ぐるみの、臓器収奪目的をふくむ「他殺」の疑いが濃厚であるとみられている。

どちらかというと大柄な体格で、体重70キロはある胡鑫宇さんが首を吊っていたのは、ロープではなく「靴の紐だった」と警察は述べた。

人間ひとり吊るして、70数日間も切れない「靴の紐」があるとは考えにくい。また、その遺体発見現場を本当に目撃した人物は、実際はいないのである。

 

画像左側は「息子を返して」と書かれたプラカードを首に下げ、絶叫する胡鑫宇さんの母親。画像中央は胡鑫宇さん。画像右は、学校の監視カメラに映る胡鑫宇さんの最後の姿。(中国のネットより)

 

ネット上には「事件のあらすじ」も

ネット上に出回っている動画に付けられた字幕には、「事件のあらすじ」について以下のように書かれていた。

「広州松田職業学院の大学3年生の王さん(21歳)は教室に午前8時25分に入り、友達と楽しく話していた。ところが8時26分に倒れ、口から泡を吹いて、そのまま意識を失った」

「教師は救急車を呼んだ。しかし教師は(大学内の医務室にいる)校医に連絡する番号を知らなかったため、そこで10分ほど時間をロスした。ようやく駆け付けた校医は68歳の高齢で、しかも聴診器を1つ持ってきただけだった。心肺蘇生を2分ほど行ったが(校医の)体力が持たず、その後、学生が心肺蘇生を引き継いだ」

「校内には、心停止の人を救命する医療機器AEDが1台あった。しかし、現場から800メートル離れていたため、誰も取りに行かず、最終的に救命のチャンスを逃すことになった」

「その後にやってきた救急隊員は1時間以上かけて心肺蘇生を行ったが、学生の死亡を宣告した。学校側は、学生が倒れてから1時間以上経った後に、ようやく家族に連絡したものの、その時に『命が危ない』とは告げなかった」

「学生を火葬場へ送ってから、家族にその旨を通知した。それ以前まで、学校側はずっと家族に対して『救命措置を施している最中だ』と騙していた」

警察もからんで「即日火葬」にしたか?

今月14日、現地の葬儀業者の職員は、中国メディア「上遊新聞」に対して「私たちは、警察署からの通知を受けて、大学へ出向いた」と話している。

この証言が正しいとすれば、死亡した学生の家族の同意は全くなく、全てが学校と、さらには現地警察の意向によって「まるで隠蔽するように大急ぎで火葬した」ということにもなる。

中国共産党による統治下の中国で、人命が軽視されることが普遍的である現状は否めない。

学校側の不手際によって、救命できる機会を逃した責任は問われて当然である。しかしそれ以上に驚愕するのは、家族の同意なしに、しかもその日のうちに大学が勝手に遺体を火葬したことであろう。ネット上では「これは明らかに、何かを意図的に隠している」といった声が広がっている。

中国では近年、青少年が失踪する事件が多発している。また最近では「脳死した大学生」から多くの臓器が移植を必要とする患者に提供されたと、あたかも善意のドナーからの美談であるかのように、官製メディアによって声高に報じられている。

民間では、これらは全て「中共が行っている臓器狩りと関係があるのではないか」という疑いの声が広がっている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。