中華料理・西太后事件 迷惑中国人を来させない妙策は「反共スローガン」を貼ること 

2023/12/19
更新: 2023/12/19

東京都内(中野区東中野)にある、日本人経営の中華料理店「西太后(せいたいごう)」で起きた一連の騒ぎがこのごろ、とても熱い。

「中国人お断り」のこの店に、在日の中国人インフルエンサーが相次いで訪れては嫌がらせをするため、一時は営業日でも店を開けられない状態になった。

明らかな営業妨害であるが、その後、効果てきめんの「魔除け札」を貼ったことで、迷惑な中国人は来なくなった、という話である。

黒板の「中国人へ」に怒った人物

事件の発端は、店先に貼ってあった「中国人や韓国人の入店を拒否する」という貼り紙だった。

店主は、なぜ「お断り」するのか、その理由について説明する張り紙をしている。そこには、「妻が病弱であり、感染症対策のため、しばらくの間は最近来日した中国人は来店を拒否させていただくが、在日中国人は歓迎」と日本語と中国語で書かれていた。

そんなある日のことである。在日の中国人インフルエンサー「油頭四六分」は、この貼り紙に怒り、ずかずか店に入ると「中国人を差別した!」と大声で騒ぎたて、自分で警察に通報した。

もちろん彼は、その様子を撮影している。少なくとも、もう1人、カメラマンがいるところを見ると、始めから計画しての行動であろう。彼の目的は「自分が主役となって、日本で差別される中国人の名誉と権利を守るために、日本人と闘う姿を動画でアピールすること」である。

この男は、駆けつけた警察官から「店に対して(貼り紙の撤去を)強制することはできない」と諭され、その場を離れるように促された。その間、日本の警察官は終始、この中国人に対して、敬語を使った丁寧な日本語で対応している。

それでも怒りが収まらない「油頭四六分」は、いっそう興奮して、中国大使館、東京都総務局、東京法務局、日本弁護士連合会などへ連絡し、自身の苦情を申し立てた。さらに、動画に撮ったその一部始終を、中国の複数の動画サイトに投稿した。

ところで、インフルエンサー「油頭四六分」は、その顔を見れば「ああ、あの人物か」と思い出す人も多いであろう。

以前にも、新宿にある飲食店の「中国人へ 当店の魚は福島産です」とチョーク書きした黒板に目をつけ、自分で警察を呼んで大騒ぎを起こしている。

中国から「嫌がらせ電話」が殺到

この時は「中国人は入店できない」などと言われたわけではない。ただ店先の小さな黒板に「中国人へ」と書いてあっただけで「差別だ」と言いだしたのだ。

温厚な店主に看板の文言を変えさせたことに「成功の味」を占めたのか、その後、中国で大人気の動画を作っている。

今回の「西太后」についても、「油頭四六分」の動画がSNSで広く拡散されたため、店の電話には中国からの嫌がらせの匿名電話が殺到。口コミサイトには、意図的とみられる低評価や、みにくい罵詈雑言であふれた。

さらに同店にはその後、何人もの中国人インフルエンサーが訪れ、全く同じ目的で、同様の大騒ぎをするようになった。一時は、営業日でも店を開けられない状態になったほどである。

 

(「西太后」を訪れ、騒ぎを起こす中国人インフルエンサーたち)

日本の警察(警視庁中野警察署)は、さらなる迷惑行為を防ぐため、店の前でのパトロールを強化した。

また、店の災難を知った多くのお客さんが「来店して応援する」という展開になった。なかには、何時間もかけて電車を乗り継ぎ、応援するため遠方から来店する日本人のお客さんもいるという。

こうして事態は、貼り紙に文句をつけた中国人インフルエンサーの想定外の方向へ進んだ。

同店は、この事件でかえって注目を集め、店主の信念の強さに賛同する多くの支持者が来店して、店は繁盛するようになった。

台湾からアドバイスされた「撃退方法」

ところで、逆転攻勢のきっかけは何だったのか。店主によると「ある台湾人ネットユーザーから、撃退方法に関するアドバイスがあったことだ」という。

その方法とは、実に簡単である。店先や店内に、習近平を暗喩する「クマのプーさん」や「六四天安門事件」「香港独立」「チベット独立」「台湾独立」などの、とにかく中国共産党が嫌がるような「反共ポスター」を掲示することだ。

なぜ、こうした反共ポスターが「魔除け」になるかというと、政治的に敏感なワードが入った画像や動画を中国のSNSに投稿すると、中国の検閲当局によってアカウントが削除されるからである。

彼らインフルエンサーの「目的」は、ひとえにSNSでの拡散にある。せっかく撮った動画が投稿できず、削除されれば「わざわざ騒ぎを起こす必要性」もなくなるわけである。

この店では、ネット上の店舗ページのメニュー紹介の写真まで、一度は「六四天安門事件」などの画像に差し替えていたようだ。ただ、18日に見たところ、画像は「通常通り」に戻されていた。

いまや店の口コミ欄には、たくさんの応援メッセージが寄せられている。

 

(一時は「六四天安門事件」の関連画像に差し替えられた店の紹介ページ。現在は「通常通り」である。SNSより)

店は、一連の騒ぎやSNSでの拡散で有名になった。海外からは「日本に行ったら、絶対ここへ立ち寄る!」と支持を表明する中国人、台湾人、香港人のお客さんも多い。

店はたちまち、中国共産党に反対する外国人や日本人が訪れる「メッカ」となり、店の前には行列ができるほど繁盛しているようだ。

日本と柔軟に向き合うことは、できないか?

いっぽう、中国国内に多くのフォロワーをもつ「油頭四六分」のほうは、どうなったか。

「店が問題の張り紙を撤去したうえ、シャッターをおろした」と、かなり事実を歪曲した内容の動画を再度を投稿して、一時は拍手歓声を浴びた。ところが、この最新動画には「香港独立」の文字が映り込んでいたため、中国の検閲にひっかかり、削除されたようだ。

記者が「西太后」へ行ってみたら、あいにく定休日だった(12月17日)。

シャッターが閉じていた店前には、支援者から贈られたものであろう「特別なプレゼント」が多数置かれていた。そのなかには「中国人インフルエンサー撃退用」の、複数枚のA4サイズの反共ポスターがあった。

そのほか、わざわざ静岡からやってきたという「中国人のお客さん」からの紙袋もあった。紙袋には、同胞の迷惑行為について、本人に代わって謝罪する「手書きメモ」が貼られている。

最後に、蛇足を承知で、もう一つの切なる願いを書く。この小さな中華料理店を訪れて、激しい抗議をしていた「油頭四六分」をはじめ複数の中国人インフルエンサーの方々に申したい。

せっかく今、あなたが自由な日本にいるのであれば、自己の意識を、中共洗脳による「愛国方式」つまり「反美仇日(反米抗日)」から解き放し、もう一度、日本や日本人と柔軟に向き合ってみることはできないだろうか。

それができなければ、あなた自身が、いつまでも軍鶏のような闘争心にかられ、とても平穏にはなれないことが明らかだからだ。

日本にいるあなたの人生に、日本人を憎む感情しかなければ、それは一つの大きな不幸であろう。

 

2023年12月17日、定休日でシャッターが下りている店前に置かれた「特別なプレゼント」。(市民からの提供写真)

 

「中国人のお客さん」からの紙袋もあった。同胞の迷惑行為について、代わって謝罪する「手書きメモ」が貼られている。(市民からの提供写真)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。